2015年3月13日
報道するラジオ「東日本大震災4年~福島と原発のいま」
<1.中間貯蔵施設>「弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです」 小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
水野晶子:
今日の報道するラジオ特集テーマ「東日本大震災4年、福島と原発の今」です。
今日は早速、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんと繋がせていただきます。
小出さん、こんばんは。
小出裕章:こんばんは。
中間貯蔵施設
水野:
小出さん、今日はまず、最初にお届けいたしましたニュース、
中間貯蔵施設の話から伺っていきたいと思います。
これは、「福島大地原発事故の除染作業で出た汚染された土などの廃棄物が、運び込まれ始めた」ということなんですけれども、
地図で見たらものすごく広いんですね。
小出:そうです。
水野:
大熊町と双葉町にまたがって、福島第一原発を取り囲むような格好で敷地が予定されていて、
16平方キロメートルって。
これ、どれだけ広いか?ってちょっと勘定しましたらね、
だいたい4キロ四方でしょ、4×4=16ですから。
すると丁度、梅田から難波までの距離が4kmなんです。
これで4km四方をちょっと想像していただくと、
なんと広大な土地が、この汚染物質の中間貯蔵施設として必要か、っていうのが、
少しイメージしていただけるかと思うんですね。
16キロ平米っていったらね、芦屋市の面積よりちょっと小さいくらい、
それくらい広大な施設が必要だということなんですけど、
この中間貯蔵施設って、そういう広いところに汚染物質を持ち込んで、
どんなふうに保管。どんなことをするんですか?小出先生。
小出:
私はよくわかりません。
今現在は、それぞれの人々が住んでいる周辺に、いわゆるフレコンバックというものに詰めて野積みされている、
水野:あの”黒い袋”のようにみえますが、
小出:
黒いのもありますし、青いのもあるのですけれども、
とにかくそれに詰めて野積みしているのですが、
水野:
住宅のすぐそばなどにも置いていますし、
小学校などの校庭の土を剥ぎ取った場合、本当にそうした土を野積みの状況で、
子供達がいるすぐ近くにも野積みしていますよね。
小出:
そうです。
ですから「それをなんとかしなければいけない」ということは確かにある、のですけれども、
でも「どうできるのか?」と言っても、その方策がわからないのです。
とにかく目の前から何処かに消さないといけないということで、
中間貯蔵施設というのを作ろうとしています。
水野:
はぁ。
で、この敷地の中で焼却もするんですか?
小出:ええ、燃えるものは焼却すると思います。
水野:
はぁ…、
また、焼却した灰などをそこに埋めるんですか?
小出:
え…、何をしても放射能は消えないのです。
袋に詰めたところで放射能は消えていないで袋の中にあるし、
それを焼いたとすれば、また濃縮された形で放射能は残るのです。
それを本当に何百年、あるいはもっと長い期間にわたって『どうすれば閉じ込め続けられるか』ということがわからないのです。
水野:
閉じ込めることの難しさでいうとですね、
地図を見たら、海にも面しているところですしね、
「もしも、また次の津波が来たらどうなるんだろうか?」とか、
「地下水はどうなるんだろうか?」
「海水に流れないんだろうか?」とかいろんなこと。
そうした、汚染物質をそこに搬入した後の懸念というのはどうなんでしょうか?
小出:
もちろんあるのです。
例えばこれまでは、福島原子力発電所の事故が起きない時でも、原子力発電所が動いている限りは放射能のゴミが出てきたのです。
そのうち、あまり汚染の高くないゴミというのは、「青森県の六ヶ所村に埋め捨てにする」ということでこれまでもずーっとやってきました。
そこには、いわゆるプールのようなものをたくさん作って、そのプールの中に放射能のゴミを入れていく。
そしていっぱいになったら蓋をして粘土で固めて盛り土をする。
というやり方でこれまでやってきました。
では、それをやって何年間じっとしておいてくれればいいか?というと、300年、
水野:300年!?
小出:
と、日本の国や電力会社は言ってきたのです。
もちろん私は死んでいるし、水野さんや平野さんも死んでいるわけですし、
東京電力、関西電力、すべての電力会社のお偉いさんも死んでいる。
自民党のお偉いさんも死んでいる。
ま、たぶん「自民党」という政党すらが無いという、
そういう長さに渡って「お守りをするからいい」と言って、自民党政府がそのやり方を認めてきてやっているのです。
300年という時間の長さは、私にとっては途方もなく長いと思いますし、
300年前は、じゃあどんな時代だったか?というと、「忠臣蔵の討ち入りの時代」だったのです。
水野:そうなんですね。
小出:
そんな先のことまでなんで今の私たちが
「もう大丈夫だ、保証できるんだ」と言えてしまうのか?ということが、
とてつもなく私には不思議です。
水野:じゃあ、300年の話から、ちょっと小さい数字の30年という話にさせてもらったら、
平野:そうですね、この根拠がなかなか分からないですね。
水野:
これは「30年以内に福島県外で、福島県じゃないところで最終処分を」という話なんですけど、
これは、…できるんですか?出来る話なんですか?
小出:
できません。
出来る道理が無いと私は思います。
今の中間貯蔵施設にしても、住民たちは本当に嫌なんです。
自分たちがずっと生活をしてきた場所が、放射能のゴミ捨て場になってしまうということは、耐え難いほどの苦しみだと思います。
それを、先ほども平野さんがおっしゃってくださったように、
暴力的にとにかく「金でやってしまおう」としているわけですけれども、
30年経って、じゃあどこか別の人たちが引き受けてくれるか?といえば、
そんなことを引き受けてくれるところがあるはずがないのです。
水野:
その辺りのことをリスナーの方が聞いてくださっているんですね。
「最終処分場が決まらないままで『中間』と言って地元を説得しているんですが、最終地が見つかるわけないと思うんですよ」って。
小出:はい、私もそう思います。
水野:そうですか……ということは「このまま」になる可能性が高いっていうふうに小出さんはみてらっしゃる。
小出:当然そうなります。
水野:
そもそも、じゃあ、
「最終処分」というのは、どういう状況を示すんですか?
小出:
それもわからない…わけです。
で、私自身は、今作ろうとしている中間貯蔵施設。
福島第一原子力発電所の周辺の、いわゆる民有地ですね、に作ろうとしているのですけれども、
それ自身が全く間違えていると思います。
今周辺で、たくさんの汚れたものを集めてフレコンバックに詰めたりしているわけですけれども、
その汚れの正体というのは、もともと福島原子力発電所の原子炉の中にあった放射性物質なんです。
東京電力のれっきとした所有物だったものなのですから、
住人がそれを必死で集めたものは、「東京電力に返せばいい」と私は思います。
住民たちがそれを引き受けるなんていうことは決してあってはいけないことなので、
元々あったところ、本来であれば福島第一原子力発電所の敷地に返せばいいと私は思います。
かなり広い敷地がありますけれども、
ただ、福島第一原子力発電所の敷地の中では、今7000人近い労働者たちが、放射能を相手に格闘しているのです。
ほとんどが下請け労働者、いわゆる非正規労働者が被曝しながら戦っているわけで、
そこに新たな放射能を戻すということは、私はできないと思います。
でも、福島第一原子力発電所南約15kmのところに福島第二原子力発電所という広大な敷地があるのです。
東京電力は「そこにある4基の原子炉をまた再稼動させる」ということを言っているわけですけれども、
私は「冗談を言わないでください」と思っています。
これだけ周辺の人たちに苦難を押し付けながら、自分だけは無傷で生き延びるということは、到底許すべきことではないと私は思いますし、
福島第二原子力発電所の敷地を、まずは中間貯蔵施設。
当然、最終処分場になってしまうのですけれども、
そのために使うべきだと思います。
それでも足りなければどうするか?ということがまた出てきますけれども、
なかなか難しいことであって、
私はとにかく東京電力に責任を取らせたいと思っていますので、
福島第二原子力発電所で足りなければ、
新潟県の柏崎刈羽原子力発電所という、世界最大の原子力発電所の敷地がありますので、
そこに持っていくべきだと思っていて、
先日柏崎に行った時にもそう発言しました。
水野:あー
小出:
柏崎の方々から見れば「なんというとんでも無いことを言うのだ」と思ったと思いますけれども、
でも、何と言っても第一義的な責任は東京電力にあるわけですから、
それを住人が引き受けてしまうということは、やってほしくありません。
水野:あ…、私たちは本当にずっと背負っていかなければいけない問題をいくつも持ってますね。
平野:そうですね、国と電力会社は両方とも責任を取っていませんからね。
小出:そうです。
平野:押し付ける形ですよね、これ。
小出:弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです。
ーーつづく
ー参考ー
引用元:
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4146.html
今日の報道するラジオ特集テーマ「東日本大震災4年、福島と原発の今」です。
今日は早速、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんと繋がせていただきます。
小出さん、こんばんは。
小出裕章:こんばんは。
中間貯蔵施設
水野:
小出さん、今日はまず、最初にお届けいたしましたニュース、
中間貯蔵施設の話から伺っていきたいと思います。
これは、「福島大地原発事故の除染作業で出た汚染された土などの廃棄物が、運び込まれ始めた」ということなんですけれども、
地図で見たらものすごく広いんですね。
小出:そうです。
水野:
大熊町と双葉町にまたがって、福島第一原発を取り囲むような格好で敷地が予定されていて、
16平方キロメートルって。
これ、どれだけ広いか?ってちょっと勘定しましたらね、
だいたい4キロ四方でしょ、4×4=16ですから。
すると丁度、梅田から難波までの距離が4kmなんです。
これで4km四方をちょっと想像していただくと、
なんと広大な土地が、この汚染物質の中間貯蔵施設として必要か、っていうのが、
少しイメージしていただけるかと思うんですね。
16キロ平米っていったらね、芦屋市の面積よりちょっと小さいくらい、
それくらい広大な施設が必要だということなんですけど、
この中間貯蔵施設って、そういう広いところに汚染物質を持ち込んで、
どんなふうに保管。どんなことをするんですか?小出先生。
小出:
私はよくわかりません。
今現在は、それぞれの人々が住んでいる周辺に、いわゆるフレコンバックというものに詰めて野積みされている、
水野:あの”黒い袋”のようにみえますが、
小出:
黒いのもありますし、青いのもあるのですけれども、
とにかくそれに詰めて野積みしているのですが、
水野:
住宅のすぐそばなどにも置いていますし、
小学校などの校庭の土を剥ぎ取った場合、本当にそうした土を野積みの状況で、
子供達がいるすぐ近くにも野積みしていますよね。
小出:
そうです。
ですから「それをなんとかしなければいけない」ということは確かにある、のですけれども、
でも「どうできるのか?」と言っても、その方策がわからないのです。
とにかく目の前から何処かに消さないといけないということで、
中間貯蔵施設というのを作ろうとしています。
水野:
はぁ。
で、この敷地の中で焼却もするんですか?
小出:ええ、燃えるものは焼却すると思います。
水野:
はぁ…、
また、焼却した灰などをそこに埋めるんですか?
小出:
え…、何をしても放射能は消えないのです。
袋に詰めたところで放射能は消えていないで袋の中にあるし、
それを焼いたとすれば、また濃縮された形で放射能は残るのです。
それを本当に何百年、あるいはもっと長い期間にわたって『どうすれば閉じ込め続けられるか』ということがわからないのです。
水野:
閉じ込めることの難しさでいうとですね、
地図を見たら、海にも面しているところですしね、
「もしも、また次の津波が来たらどうなるんだろうか?」とか、
「地下水はどうなるんだろうか?」
「海水に流れないんだろうか?」とかいろんなこと。
そうした、汚染物質をそこに搬入した後の懸念というのはどうなんでしょうか?
小出:
もちろんあるのです。
例えばこれまでは、福島原子力発電所の事故が起きない時でも、原子力発電所が動いている限りは放射能のゴミが出てきたのです。
そのうち、あまり汚染の高くないゴミというのは、「青森県の六ヶ所村に埋め捨てにする」ということでこれまでもずーっとやってきました。
そこには、いわゆるプールのようなものをたくさん作って、そのプールの中に放射能のゴミを入れていく。
そしていっぱいになったら蓋をして粘土で固めて盛り土をする。
というやり方でこれまでやってきました。
では、それをやって何年間じっとしておいてくれればいいか?というと、300年、
水野:300年!?
小出:
と、日本の国や電力会社は言ってきたのです。
もちろん私は死んでいるし、水野さんや平野さんも死んでいるわけですし、
東京電力、関西電力、すべての電力会社のお偉いさんも死んでいる。
自民党のお偉いさんも死んでいる。
ま、たぶん「自民党」という政党すらが無いという、
そういう長さに渡って「お守りをするからいい」と言って、自民党政府がそのやり方を認めてきてやっているのです。
300年という時間の長さは、私にとっては途方もなく長いと思いますし、
300年前は、じゃあどんな時代だったか?というと、「忠臣蔵の討ち入りの時代」だったのです。
水野:そうなんですね。
小出:
そんな先のことまでなんで今の私たちが
「もう大丈夫だ、保証できるんだ」と言えてしまうのか?ということが、
とてつもなく私には不思議です。
水野:じゃあ、300年の話から、ちょっと小さい数字の30年という話にさせてもらったら、
平野:そうですね、この根拠がなかなか分からないですね。
水野:
これは「30年以内に福島県外で、福島県じゃないところで最終処分を」という話なんですけど、
これは、…できるんですか?出来る話なんですか?
小出:
できません。
出来る道理が無いと私は思います。
今の中間貯蔵施設にしても、住民たちは本当に嫌なんです。
自分たちがずっと生活をしてきた場所が、放射能のゴミ捨て場になってしまうということは、耐え難いほどの苦しみだと思います。
それを、先ほども平野さんがおっしゃってくださったように、
暴力的にとにかく「金でやってしまおう」としているわけですけれども、
30年経って、じゃあどこか別の人たちが引き受けてくれるか?といえば、
そんなことを引き受けてくれるところがあるはずがないのです。
水野:
その辺りのことをリスナーの方が聞いてくださっているんですね。
「最終処分場が決まらないままで『中間』と言って地元を説得しているんですが、最終地が見つかるわけないと思うんですよ」って。
小出:はい、私もそう思います。
水野:そうですか……ということは「このまま」になる可能性が高いっていうふうに小出さんはみてらっしゃる。
小出:当然そうなります。
水野:
そもそも、じゃあ、
「最終処分」というのは、どういう状況を示すんですか?
小出:
それもわからない…わけです。
で、私自身は、今作ろうとしている中間貯蔵施設。
福島第一原子力発電所の周辺の、いわゆる民有地ですね、に作ろうとしているのですけれども、
それ自身が全く間違えていると思います。
今周辺で、たくさんの汚れたものを集めてフレコンバックに詰めたりしているわけですけれども、
その汚れの正体というのは、もともと福島原子力発電所の原子炉の中にあった放射性物質なんです。
東京電力のれっきとした所有物だったものなのですから、
住人がそれを必死で集めたものは、「東京電力に返せばいい」と私は思います。
住民たちがそれを引き受けるなんていうことは決してあってはいけないことなので、
元々あったところ、本来であれば福島第一原子力発電所の敷地に返せばいいと私は思います。
かなり広い敷地がありますけれども、
ただ、福島第一原子力発電所の敷地の中では、今7000人近い労働者たちが、放射能を相手に格闘しているのです。
ほとんどが下請け労働者、いわゆる非正規労働者が被曝しながら戦っているわけで、
そこに新たな放射能を戻すということは、私はできないと思います。
でも、福島第一原子力発電所南約15kmのところに福島第二原子力発電所という広大な敷地があるのです。
東京電力は「そこにある4基の原子炉をまた再稼動させる」ということを言っているわけですけれども、
私は「冗談を言わないでください」と思っています。
これだけ周辺の人たちに苦難を押し付けながら、自分だけは無傷で生き延びるということは、到底許すべきことではないと私は思いますし、
福島第二原子力発電所の敷地を、まずは中間貯蔵施設。
当然、最終処分場になってしまうのですけれども、
そのために使うべきだと思います。
それでも足りなければどうするか?ということがまた出てきますけれども、
なかなか難しいことであって、
私はとにかく東京電力に責任を取らせたいと思っていますので、
福島第二原子力発電所で足りなければ、
新潟県の柏崎刈羽原子力発電所という、世界最大の原子力発電所の敷地がありますので、
そこに持っていくべきだと思っていて、
先日柏崎に行った時にもそう発言しました。
水野:あー
小出:
柏崎の方々から見れば「なんというとんでも無いことを言うのだ」と思ったと思いますけれども、
でも、何と言っても第一義的な責任は東京電力にあるわけですから、
それを住人が引き受けてしまうということは、やってほしくありません。
水野:あ…、私たちは本当にずっと背負っていかなければいけない問題をいくつも持ってますね。
平野:そうですね、国と電力会社は両方とも責任を取っていませんからね。
小出:そうです。
平野:押し付ける形ですよね、これ。
小出:弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです。
ーーつづく
ー参考ー
【3.11から4年】「中間貯蔵施設」 13日搬入開始 迫る
福島民報 2015年3月7日
東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、内堀雅雄知事は2月24日に廃棄物の搬入受け入れを表明、翌25日に政府に伝えた。これを受け、環境省が3月13日の搬入開始を表明するなど、施設整備に向け、大きく前進した。中間貯蔵施設は除染の進展につながるなど、本県復興に欠かせない。ただ、2000人余りともされる地権者との用地交渉の多くは、これからだ。「県外最終処分は実現できるのか」「先祖代々の土地を手放したくない」。地権者は複雑な思いを抱える。
■福島復興の"出発点" 9市町村から先行輸送
13日搬入開始の決定に伴い、同省は平成57年3月までの県外最終処分の完了の責務を負った。しかし、最終処分場の候補地の選定は始まっていない。中間貯蔵施設の用地確保の見通しや施設建設の日程などは不透明なままだ。
望月義夫環境相は13日搬入開始の理由を「中間貯蔵施設は日本全体の復興のためにも一日も早く稼働させたい。ただ、3月11日を静かに過ごしたいという地元の思いを重く受け止めた」としている。また、地権者が墓参りする彼岸の間にも配慮し、3月18日から24日までの7日間は廃棄物の搬入と一時保管場の整備工事などを停止する方針も示している。
搬入開始後の最初の約1年間はパイロット(試験)輸送を行う。双葉郡に田村市を加えた9市町村から先行して輸送した後、除染計画を策定している計34市町村からそれぞれ約1000立方メートルずつを一時保管場に搬入する。その後の本格搬入に向けては、同省が各仮置き場からの搬出スケジュールや施設建設の工程表などを早急に示す必要がある。
搬入開始日の決定を受け、建設予定地の大熊町の渡辺利綱町長は「地元の意向を受け入れてもらった。安全に作業を進めてほしい」、双葉町の伊沢史朗町長は「国がある程度の配慮をしてくれた。地域の人の思いをくみ取った丁寧な対応をしてもらいたい」と語った。
内堀知事は「両町の思いを受け止め、国が判断した。輸送の実施に当たっては安全・安心の確保を最優先に取り組んでほしい」との談話を発表した。県は搬入受け入れに際して、地権者への丁寧な説明など5項目を政府に求めた。
同省は今年1月中の搬入開始を目指してきたが、県、大熊、双葉両町、建設予定地の地権者との交渉が難航して断念。東日本大震災から4年となる3月11日を新たな目標としていた。
中間貯蔵施設への搬入開始から30年以内の県外での最終処分完了は昨年11月19日に参院本会議で可決、成立した日本環境安全事業株式会社(JESCO)法の改正案(中間貯蔵施設関連法案)で定めている。
【県が搬入受け入れに当たって政府に要請した5項目】
(1)地権者に対して分かりやすく丁寧で寄り添った対応をする。
(2)30年以内の県外最終処分に向けて万全の措置を講じる。
(3)中間貯蔵施設の交付金の運用に当たって、県と市町村が自主的、主体的に使えるよう対応する。原子力災害からの復興に関わる財政措置は引き続き国と協議していく。
(4)道路交通対策やルートの維持管理、積込場からの搬入ルートの生活環境の除染などは県と市町村の意向を踏まえ国がしっかり取り組む。
(5)輸送の実施に当たっては安全確保を最優先する。県全体の搬入の見通しを早急に示す。
【中間貯蔵施設への搬入例】
○県内市町村の仮置き場に保管されている除染に伴う汚染土壌などの廃棄物
○1キロ当たり10万ベクレルを超える放射性セシウム濃度の焼却灰など
※1キロ当たり10万ベクレル以下の廃棄物は富岡町の民間管理型処分場「フクシマエコテッククリーンセンター」で埋め立て処分
※中間貯蔵施設
原発事故に伴う除染廃棄物を最長30年間保管するため、環境省が双葉、大熊両町の福島第一原発周辺に建設する施設。面積は約16平方キロで約3千万トンの貯蔵が可能。貯蔵や減容化のための施設の他、空間放射線量や地下水のモニタリング、情報公開、効果的な減容化技術の研究開発・評価のための施設も併設する予定となっている。
(2015/03/07 17:14カテゴリー:震災から4年)
中間貯蔵施設へ廃棄物搬入 12袋で2時間半の慎重な作業に
FNN 2015年3月13日
福島県の最重要課題の1つ、中間貯蔵施設への廃棄物の運び込みが始まった。2,200万立方メートル、東京ドーム18個分という、前例のない廃棄物の輸送が行われる。
13日に初めて搬出が行われた場所は、福島第1原発から、およそ20km離れた大熊町の南平仮置き場。
そこから県道を北上して、常磐自動車道、国道6号線を横切って、中間貯蔵施設一時保管場へと搬入された。
廃棄物の量は、わずか12袋だったが、2時間半もかかった慎重な作業となった。
午後1時、大熊町の居住制限区域にある「南平仮置き場」で、廃棄物の積み込みが始まった。
保管が長い期間に及び、袋が劣化しているおそれもあるため、新しい袋に詰め直しての搬出となった。
廃棄物を積んだトラックは、15km離れた中間貯蔵施設の一時保管場へと運ばれた。
一時保管場で行われるのは、廃棄物の移し替え。
環境省の担当者は「(なぜ移し替える?)場内と場外の作業を分けるためです。汚染の拡散を防ぎますし、効率もいいと思います」と話した。
一時保管場の放射線量は、毎時3マイクロシーベルト(μSv)から4マイクロシーベルトほどだが、輸送と搬入でトラックを分けることで、汚染の拡散を防ぐ狙いがある。
また輸送の前後で、重さや線量に変化がないかチェックする。
環境省の担当者は「(搬出の前後で放射線の値に変化がないかわかる?)そうですね。途中でフレコンバッグを落としていないか、何か違う物に変わっていないか確認する。(その資料がトラックに?)全部のトラックに積まれています」と話した。
13日は、2台のトラックが、12袋を一時保管場に搬入。
1カ月ほどで、1,000袋ほどが一時保管場に運ばれる計画。
福島の中間貯蔵施設へ除染で出た土を搬入
NHK 2015年3月13日 17時02分
(ニュース動画の文字起こし)
原発事故の後、福島県内の除染などで出た土などを保管する袋です。
人々の生活の場に仮置きされたままです。
事故から4年を経て、今日(13日)中間貯蔵施設の「保管場」への搬入が始まりました。
30年以内に完了するとしている福島県外での最終処分へ時計の針は動き始めたことになりますが、
今後の工程が着実に進むのか、見通しはたちません。
除染で出る土などが入った袋。
福島県大熊町の借り置き場です。
午後袋がトラックに積み込まれ運び出されました。
ヘリ 記者:
午後2時55分です。
除染で出た土などを載せたトラックが中間貯蔵施設の「保管場」に到着しました。
東日本大震災、そして原発事故発生から4年を経て、
ようやく今日、中間貯蔵が始まりました。
施設の建設予定地は、双葉町と大熊町にまたがり、
土地の広さは東京渋谷区とほぼ同じおよそ16平方キロメートルです。
土などの借り置き場の近くに住む人は、
「なるたけ早く持って行ってもらいたい。というのが願いですね」
避難生活を続ける大熊町の住民は搬入が始まったことについて、
しょうがないと思ってますけど、…何処かが受け入れなきゃならないわけですよね。
反対ですけどね。
諦めてるっていうかね…、…帰れないし。
福島県内堀知事
本当に大切な節目になると考えています。
ただ一方で様々な地元の方の思いもありますので、
県としては複雑な思いせこの件を受け止めています。
土などの搬入は、施設の用地確保もほとんどできていない中で始まりました。
今現在保管できるのは、搬入が計画されている量の0.1%未満です。
広大な建設予定地の地権者は2300人以上にのぼるとされますが、
契約できたのはわずか1件です。
施設の完成や、搬入の完了時期の見通しは立っていません。
そして大きな課題は土などの最終的な行き場です。
政府は、保管が始まった13日から30年以内に福島県外で最終処分を終える方針です。
しかし処分場の候補地の選定を含め、その具体的な工程は示されていません。
報道するラジオ 2015年3月13日
「東日本大震災4年~福島と原発のいま」文字起こしブログ
<1.中間貯蔵施設>
「弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
<2.廃炉への道>
「今更『ミュー粒子でどこにあるか?』なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
2015年3月13日【金】 報道するラジオ
東日本大震災4年~福島と原発のいま
10:56〜https://youtu.be/5GXzqghUwIY?t=10m56s
廃炉への道
水野:
そして最終的にはもちろん廃炉を完成させなければいけないんですけど、
その廃炉への道ですね。
福島第一原発でメルトダウンした燃料、溶融燃料がまだどこにあるか?わかっていないんですよね。
小出:わかりません。
水野:
それさえわかっていないんですよね。
で、その場所を知る方法に、今言われているのが
「ミュー粒子」っていうものを使うという案が上がっているそうです。
この「ミュー粒子」って、なんなんですか?
小出:
放射線の一つで、大変透過性の高い放射線の一種なのです。
それが、ま、宇宙から降り注いでいますし、ごく特殊な加速器を使うとそういうものも作り出すことができるのですが、
それを福島第一原子力発電所の原子炉建屋に照射する。
あるいは宇宙から降ってくるミュー粒子を利用して、
それがどのように原子炉建屋の中を突き抜けてくるか?ということを調べることによって、
「どこに溶け落ちた炉心があるかを知ることができるかもしれない」という話があるのです。
水野:小出先生はこれでわかると、場所を突き止められるとお思いになります?
小出:ダメだと思います。
水野:ダメですか。
小出:
はい。
そんなことをやっているよりは、もっともっと私たちは迅速に対処しなければいけませんし、
「何年後かに分かればいい」という話ではなくて、
まずはもう、汚染が外に出ないように、もう、何よりも早くどんどん工事、
というか、わたし自身は「閉じ込めるしかない」と思っているのですが、
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったような、
「石棺」というものをまずは作る。
チェルノブイリ原子力発電所の場合は地上だけで済んだのですけれども、
福島の場合には原子炉建屋が、地下でもうボロボロにひび割れてしまっていて、
地下水が汚染水と一体化してしまっているという状況ですので、
地下にも石棺を作らなければ、
水野:地下にも石棺って、出来るんですか?
小出:
はい、もう私は、水野さんに聞いていただいて、
前の「たねまきジャーナル」の時代にですね、
2011年5月の段階からそれを私はみなさんにお伝えしてきました。
「地下に遮水壁をめぐらして地下水と接触しないようにしなければいけない」
「すぐにでもやるべきだ」と私はあの時に発言をしたのですが、
もうすでに4年も経ってしまっていて、
「あまりにも遅い」と。
国や東京電力のやっていることが、思います。
今更「ミュー粒子でどこにあるか?」なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです。
どんどん地下の石棺、私が遮水壁と呼んだようなものを早急に作らなければいけないと私は思います。
水野:結局今地下水がどんどん汚染されて海へ流れているわけですもんね。
小出:そうです。
平野:
凍土壁というのを遮水壁として国とか東電はやろうとしている。
これはま、初めから「あんまり効果はない」と言われていたんですけれども、
特に、全然成果が上がっていないみたいですね。
小出:「出来ない」のです。
平野:はぁ〜
小出:
私よりは平野さん含めて報道の現場にいる方の方がご存じかもしれませんが、
凍土壁というのは、言ってみれば、「やったことがある技術」なのです。
トンネルなんかを掘削したりしているときに、どこかで地下水が噴き出してきたら、その場所だけ凍らせてトンネルを先に掘り進めようというための技術です。
ですから、やったことがないわけではないのですが、
福島第一原子力発電所で作る凍土壁というのは、深さ30m、長さ1.4kmというような氷の壁を作ると言っているわけで、
そんなことは人類全く経験がありませんし、それをずーっと、何年何十年と維持できるのか?といえば、
冷やしている冷媒が途切れてしまえば、氷が溶けてしまって壁がなくなってしまうわけであって、
そんなものが維持できるはずがないのです。
結局はその周りに恒久的な壁を作るしかなくなります。
ただ、ゼネコンから見ると、「大変うまいやり方だな」と私は思います。
凍土壁を作るために何百億円という金をゼネコンが儲けるわけで、
結局「凍土壁ではダメでした」
「また、次の恒久的な壁を作ります」と言えば、
また何百億円何千億円の金をゼネコンがせしめるということになるわけです。
ゼネコンというところは、原子力発電所を作るときに儲けて、
また事故が起きれば儲けてと、
どんなことがあっても儲けることができるという、そんなところなんだなと思います。
水野:
小出さんは「石棺をできるだけ早く作るべきだ」とおっしゃいますけど、
今言われているのは、実際にはメルトダウンした、溶け出した燃料を取り出すのは、
格納容器の横の部分ですね、側面に穴を開けて、そして溶融した燃料を取り出す。
これを検討していると聞きます。
このやり方はいかがですか?
小出:
もともと、国と東京電力は「上から取り出す」と言っていたんです。
圧力容器という鋼鉄製の圧力釜自身はもう底が抜けてしまって、
溶け落ちた炉心はさらに下に落ちているわけです。
どこか?というと、格納容器というもう一つ大きい容器の底に落ちた、のです。
格納容器というのは、放射能を閉じ込めるための最後の防壁として設計された容器ですので、
もちろん水も漏らさなければ空気も漏らさない放射能だって当然漏らさないという筈の容器だったのですが、
その容器がもうボロボロになってしまっていて、
地下水でもなんでもそこに入ってきたり、
あるいは、今圧力容器の中に水を意図的に入れているわけですが、
それが格納容器に流れ落ちて、それがまた原子炉建屋の中に流れ出ていってしまっているというように、
もう格納容器もボロボロに壊れているのです。
で、国や東京電力の工程表によると、
「格納容器の中に水を満水にする」と言ってるわけですけれども、
そんなこと自身がまずはできません。
水野:出来ないんですね。
小出:
はい。
ですから、
水野:
でも、この水っていうのは、放射能を
遮断する。
小出:そうです。
水野:
効果があるので、
本当は水を入れてから、
水の中に沈没させるような形にしてから、溶融燃料を取り出したいわけですよね。
小出:
はい。
上の方向に取り出したいと言っていたんですけども、
水野:それがもう出来ない。
小出:
それができないので、横方向からやろうか、
あるいは私の友人たちは「地下からやればできるんではないか」というような話もしています。
水野:どうなんですか?
小出:私は、多分出来ないと思います。
水野:出来ないと。
小出:
はい。
国や東京電力の工程表によると、
溶け落ちた炉心は圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底を抜いて下に落ちた。
で、格納容器の床に落ちたわけですけれども、
圧力容器の真下に、饅頭のように堆積しているという、そういう想像をしているのです。
そんなことは決してありません。
もう、猛烈なドラスティックな事故が進行したわけで、
溶け落ちた炉心はもう、格納容器の床に饅頭のように堆積しているのではなくて、
もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていると私は思います。
ですから、上から取り出そうにしても、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていて、
上から見えるところというのはほんのわずかなところしか見えませんから、
まず上には取り出せません。
横からやったとして、
何がしかの物を取ったとしても、
取りきれないものは山ほど残ってしまいます。
「取る」という作業のために膨大な被曝をしなければいけなくなるわけですし、
そんなことをやって、仮に50%取ったとしても、50%は取れないで残ってしまうわけですから、
初めから、私はそんな作業は諦めるべきだし、
すぐにでも石棺化ということに行くべきだと私は思います。
水野:どうして石棺説の方に動かないんでしょう?
平野:ねぇ。
取り出すと言っても何か僕らのイメージでは、機械で取り出すみたいなイメージですけど、
そんな物は無いわけですね、
小出:
もちろんこんな経験をしたことはないのです。
1979年に米国のスリーマイル島というところで事故が起きて、炉心が溶けたことがあったのですが、
その時は「原子炉圧力容器の底は抜けなかった」のです。
ですから、溶けた炉心は原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底に、
饅頭のようにそれこそ溜まっていたわけで、
だから上から、圧力容器の中に水を満たしてですね、
上の方から、饅頭のように固まっている奴を取り出したんですけれども、
すでにもう、その圧力容器すらが、底が抜けてしまって、さらに下に落ちているわけで、
仮に格納容器を全部水没出来たとしても、
上の方から見ると30m、40mも下に溜まっているものを上から掴み出さなければいけない。
という、かつてやったこともないことをやらなければならない。
そして、わたし先ほど聞いていただいたように、
上から覗いて見えるようなところに饅頭のように溜まってるなんていうことが元々無いのです。
そんな馬鹿げたことを考えるよりは、
一刻も早く封印するという作業に入ったほうがいいと私は思います。
ーーつづく
ー参考ー
2014年12月
<福島第一原子力発電所>
燃料の取り出し・汚染水・魚・凍土壁・「処理水」・他
おしどり・木野龍逸12/31 報道するラジオ(文字起こし)
2014年9月
<作業員の証言5>
タンク・凍土壁・アルプス…「結局ゼネコンのただの食い物ですよ」9/12報道するラジオ(文字起こし)
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり東日本大震災4年~福島と原発のいま
10:56〜https://youtu.be/5GXzqghUwIY?t=10m56s
廃炉への道
水野:
そして最終的にはもちろん廃炉を完成させなければいけないんですけど、
その廃炉への道ですね。
福島第一原発でメルトダウンした燃料、溶融燃料がまだどこにあるか?わかっていないんですよね。
小出:わかりません。
水野:
それさえわかっていないんですよね。
で、その場所を知る方法に、今言われているのが
「ミュー粒子」っていうものを使うという案が上がっているそうです。
この「ミュー粒子」って、なんなんですか?
小出:
放射線の一つで、大変透過性の高い放射線の一種なのです。
それが、ま、宇宙から降り注いでいますし、ごく特殊な加速器を使うとそういうものも作り出すことができるのですが、
それを福島第一原子力発電所の原子炉建屋に照射する。
あるいは宇宙から降ってくるミュー粒子を利用して、
それがどのように原子炉建屋の中を突き抜けてくるか?ということを調べることによって、
「どこに溶け落ちた炉心があるかを知ることができるかもしれない」という話があるのです。
水野:小出先生はこれでわかると、場所を突き止められるとお思いになります?
小出:ダメだと思います。
水野:ダメですか。
小出:
はい。
そんなことをやっているよりは、もっともっと私たちは迅速に対処しなければいけませんし、
「何年後かに分かればいい」という話ではなくて、
まずはもう、汚染が外に出ないように、もう、何よりも早くどんどん工事、
というか、わたし自身は「閉じ込めるしかない」と思っているのですが、
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったような、
「石棺」というものをまずは作る。
チェルノブイリ原子力発電所の場合は地上だけで済んだのですけれども、
福島の場合には原子炉建屋が、地下でもうボロボロにひび割れてしまっていて、
地下水が汚染水と一体化してしまっているという状況ですので、
地下にも石棺を作らなければ、
水野:地下にも石棺って、出来るんですか?
小出:
はい、もう私は、水野さんに聞いていただいて、
前の「たねまきジャーナル」の時代にですね、
2011年5月の段階からそれを私はみなさんにお伝えしてきました。
「地下に遮水壁をめぐらして地下水と接触しないようにしなければいけない」
「すぐにでもやるべきだ」と私はあの時に発言をしたのですが、
もうすでに4年も経ってしまっていて、
「あまりにも遅い」と。
国や東京電力のやっていることが、思います。
今更「ミュー粒子でどこにあるか?」なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです。
どんどん地下の石棺、私が遮水壁と呼んだようなものを早急に作らなければいけないと私は思います。
水野:結局今地下水がどんどん汚染されて海へ流れているわけですもんね。
小出:そうです。
平野:
凍土壁というのを遮水壁として国とか東電はやろうとしている。
これはま、初めから「あんまり効果はない」と言われていたんですけれども、
特に、全然成果が上がっていないみたいですね。
小出:「出来ない」のです。
平野:はぁ〜
小出:
私よりは平野さん含めて報道の現場にいる方の方がご存じかもしれませんが、
凍土壁というのは、言ってみれば、「やったことがある技術」なのです。
トンネルなんかを掘削したりしているときに、どこかで地下水が噴き出してきたら、その場所だけ凍らせてトンネルを先に掘り進めようというための技術です。
ですから、やったことがないわけではないのですが、
福島第一原子力発電所で作る凍土壁というのは、深さ30m、長さ1.4kmというような氷の壁を作ると言っているわけで、
そんなことは人類全く経験がありませんし、それをずーっと、何年何十年と維持できるのか?といえば、
冷やしている冷媒が途切れてしまえば、氷が溶けてしまって壁がなくなってしまうわけであって、
そんなものが維持できるはずがないのです。
結局はその周りに恒久的な壁を作るしかなくなります。
ただ、ゼネコンから見ると、「大変うまいやり方だな」と私は思います。
凍土壁を作るために何百億円という金をゼネコンが儲けるわけで、
結局「凍土壁ではダメでした」
「また、次の恒久的な壁を作ります」と言えば、
また何百億円何千億円の金をゼネコンがせしめるということになるわけです。
ゼネコンというところは、原子力発電所を作るときに儲けて、
また事故が起きれば儲けてと、
どんなことがあっても儲けることができるという、そんなところなんだなと思います。
水野:
小出さんは「石棺をできるだけ早く作るべきだ」とおっしゃいますけど、
今言われているのは、実際にはメルトダウンした、溶け出した燃料を取り出すのは、
格納容器の横の部分ですね、側面に穴を開けて、そして溶融した燃料を取り出す。
これを検討していると聞きます。
このやり方はいかがですか?
小出:
もともと、国と東京電力は「上から取り出す」と言っていたんです。
圧力容器という鋼鉄製の圧力釜自身はもう底が抜けてしまって、
溶け落ちた炉心はさらに下に落ちているわけです。
どこか?というと、格納容器というもう一つ大きい容器の底に落ちた、のです。
格納容器というのは、放射能を閉じ込めるための最後の防壁として設計された容器ですので、
もちろん水も漏らさなければ空気も漏らさない放射能だって当然漏らさないという筈の容器だったのですが、
その容器がもうボロボロになってしまっていて、
地下水でもなんでもそこに入ってきたり、
あるいは、今圧力容器の中に水を意図的に入れているわけですが、
それが格納容器に流れ落ちて、それがまた原子炉建屋の中に流れ出ていってしまっているというように、
もう格納容器もボロボロに壊れているのです。
で、国や東京電力の工程表によると、
「格納容器の中に水を満水にする」と言ってるわけですけれども、
そんなこと自身がまずはできません。
水野:出来ないんですね。
小出:
はい。
ですから、
水野:
でも、この水っていうのは、放射能を
遮断する。
小出:そうです。
水野:
効果があるので、
本当は水を入れてから、
水の中に沈没させるような形にしてから、溶融燃料を取り出したいわけですよね。
小出:
はい。
上の方向に取り出したいと言っていたんですけども、
水野:それがもう出来ない。
小出:
それができないので、横方向からやろうか、
あるいは私の友人たちは「地下からやればできるんではないか」というような話もしています。
水野:どうなんですか?
小出:私は、多分出来ないと思います。
水野:出来ないと。
小出:
はい。
国や東京電力の工程表によると、
溶け落ちた炉心は圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底を抜いて下に落ちた。
で、格納容器の床に落ちたわけですけれども、
圧力容器の真下に、饅頭のように堆積しているという、そういう想像をしているのです。
そんなことは決してありません。
もう、猛烈なドラスティックな事故が進行したわけで、
溶け落ちた炉心はもう、格納容器の床に饅頭のように堆積しているのではなくて、
もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていると私は思います。
ですから、上から取り出そうにしても、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていて、
上から見えるところというのはほんのわずかなところしか見えませんから、
まず上には取り出せません。
横からやったとして、
何がしかの物を取ったとしても、
取りきれないものは山ほど残ってしまいます。
「取る」という作業のために膨大な被曝をしなければいけなくなるわけですし、
そんなことをやって、仮に50%取ったとしても、50%は取れないで残ってしまうわけですから、
初めから、私はそんな作業は諦めるべきだし、
すぐにでも石棺化ということに行くべきだと私は思います。
水野:どうして石棺説の方に動かないんでしょう?
平野:ねぇ。
取り出すと言っても何か僕らのイメージでは、機械で取り出すみたいなイメージですけど、
そんな物は無いわけですね、
小出:
もちろんこんな経験をしたことはないのです。
1979年に米国のスリーマイル島というところで事故が起きて、炉心が溶けたことがあったのですが、
その時は「原子炉圧力容器の底は抜けなかった」のです。
ですから、溶けた炉心は原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底に、
饅頭のようにそれこそ溜まっていたわけで、
だから上から、圧力容器の中に水を満たしてですね、
上の方から、饅頭のように固まっている奴を取り出したんですけれども、
すでにもう、その圧力容器すらが、底が抜けてしまって、さらに下に落ちているわけで、
仮に格納容器を全部水没出来たとしても、
上の方から見ると30m、40mも下に溜まっているものを上から掴み出さなければいけない。
という、かつてやったこともないことをやらなければならない。
そして、わたし先ほど聞いていただいたように、
上から覗いて見えるようなところに饅頭のように溜まってるなんていうことが元々無いのです。
そんな馬鹿げたことを考えるよりは、
一刻も早く封印するという作業に入ったほうがいいと私は思います。
ーーつづく
ー参考ー
福島第1原発で「ミュー粒子」使用し、溶けた核燃料調査始まる
FNNLocal 福島 2015/02/12
こちら、茨城県の東海第二原発。
「ミュー粒子」というものを使って撮影されました。
レントゲンの写真のように建物の内部が一部透けていて、
こちら(右の黒い部分)は柱、そして梁(柱から横に伸びる黒い部分)。
青く見えているのは「燃料」です。
茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構が撮影に成功しました。
福島第一原発でも、この技術を使い、溶け落ちた燃料の分布を探る調査が始まりました。
福島第1原発1号機の北側と西側に設置された、2台のコンテナ。
この中にそれぞれ、ミュー粒子を計測する装置が入っています。
ミュー粒子は、宇宙線が大気と衝突して発生するもので、物質を通過する性質を持っています。
しかし、ウランなどに衝突すると方向が変わるため、
ミュー粒子の動きを調べることで、燃料が原子炉内でどう溶け落ちているか把握できるのです。
30~50cmほどの大きさでも計測できるといい、
溶けた燃料の状態がわかれば、取り出し作業に向けた大きな材料になるということです。
12日、東京電力は、会見で
10cm厚の遮蔽(しゃへい)体の中に測定器が入っているのですが、
ま、その中の温度の状況が、その管理範囲内にあることを確認をして、
それから、測定を始めるというふうに聞いています。
溶けた燃料の取り出しは、廃炉にあたって極めて重要ですが、
一方で、これまでに例のない、未知の作業となります。
東京電力では、3月末までに調査結果をまとめ、取り出し方法の検討を始めたいとしています。
福島第1原発 汚染水対策の鍵「凍土遮水壁」の最新建設現場公開
FNNLocal 2015/02/18
福島第一原発です。
東京電力が汚染水対策の柱に据えるのが、福島第1原発の1号機から4号機の周りを氷の壁で囲い、地下水の流入を抑える「凍土遮水壁」です。
18日は、その最新の建設現場が公開されました。
記者:
こちらが4号機脇の、一番工事が進んでいる凍結管になります。
この下にあるのが凍結管になるんですが、この下に凍土壁ができることになります。
公開された、凍土遮水壁の建設現場。
着工からおよそ8カ月で、建屋の山側部分は、凍結管の設置も6割以上進んでいます。
1号機から4号機の周りを囲うように地盤を凍らせる、凍土遮水壁。
完成すれば、建屋に1日300トン流れ込む地下水を遮断し、新たな汚染水の発生を大幅に抑制できるとされています。
建屋を見下ろす、高さ30メートルの高台。
ここに設置されたのは、冷凍機などが並ぶ凍結プラントで、
-30度に冷やした冷却液を建屋周辺の配管へと送ります。
記者:
こちらが凍土壁に欠かせない冷却液を作る冷凍機です。
この場所から冷却液がパイプを通って、建屋の周りにある凍結館へと流れていきます。
凍結プラントも完成し、東京電力では、3月中に、一部で凍結を始める計画でした。
しかし、相次ぐ作業員の死亡事故を受けた安全点検で、
作業が2週間中断したことから、工程の見直しを迫られています。
東京電力は、会見で
「今、詳細な日程を、今詰めている状況です。
現時点では、まだ、3月中には開始したいということで」
汚染水対策の鍵を握る、凍土遮水壁。
東京電力では、準備が整い次第、山側の凍結しにくい部分から先行して、凍結を始める計画です。
2014年12月
<福島第一原子力発電所>
燃料の取り出し・汚染水・魚・凍土壁・「処理水」・他
おしどり・木野龍逸12/31 報道するラジオ(文字起こし)
2014年9月
<作業員の証言5>
タンク・凍土壁・アルプス…「結局ゼネコンのただの食い物ですよ」9/12報道するラジオ(文字起こし)
2014年10月
<福島第一原発視察最新状況>
4号機使用済み核燃料・汚染水対策・凍土壁・今後について/服部良一×増山麗奈(文字起こし)
より一部抜粋
服部:
凍土壁を作っている現場であるとか、
そういう汚染水対策の現状というところを見てきたんですね。
これは凍土壁を作っている現場やね。こんな感じなんです。
増山:えっ、凍土壁って「地下掘って」と思ってたんですけど。
服部:地下にずーっと送っているわけよ、凍らすためのをね。
増山:え・・どこが地下掘っているところなんですか?
服部:だからここに管があって、ここからずっと送っているみたいよ。
増山:
へぇ〜〜〜、・・・しょぼいですね。
私はもっと世界最先端のすごい技術かと思ったら、
服部:うん、
報道するラジオ 2015年3月13日
「東日本大震災4年~福島と原発のいま」文字起こしブログ
<1.中間貯蔵施設>
「弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
<2.廃炉への道>
「今更『ミュー粒子でどこにあるか?』なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです」
2015年3月13日【金】 報道するラジオ
東日本大震災4年~福島と原発のいま
21:19〜https://youtu.be/5GXzqghUwIY?t=21m19s
核のゴミ
水野:
小出さん、次は「核のゴミ」について伺いたいんですけれども、
原発再稼働への動きが進められている中で、
科学者の団体である日本学術会議というところが発表したものがあります。
それは「再稼働の条件」として、
「原発から出る核のゴミの対策を明確にしなさい」という提言なんですね。
これは具体的には「50年間の乾式貯蔵」というのを提案していると言うんです。
これはどう評価なさいます?
小出:
日本学術会議というのは、「学者の国会」と呼ばれるように、
学者の中の本当に偉い人たちが会員になって作っている団体なのです。
その団体がようやくにして、これまでの日本がやってきたやり方。
というのは、原子力発電所から出てきたゴミを「
地下深いところに埋め捨てにしてしまえ」というのが日本のこれまでの方針だったのですけれども、
「そんなものはダメだ」と言って、最近になってようやく提言を出してくれるようになったのです。
私は今水野さんが言ってくださったように、
「乾式貯蔵でやるしかない」と、もうずーーーっと昔から言ってきた人間なのです。
「埋め捨て」にするなんていうことをやってはいけない。
「埋め捨て」にしたところで100万年間そこにじっとしていてくれなければいけないというようなことは、
科学が保障できるようなことではないので、
水野:100万年埋めたままの状態が保証できるか?っていうことですね?
小出:そうです。
水野:「地球は変わる」っていうことです。
小出:
はい。
例えば関西には六甲山という山があります。
標高約900mあるはずですけれども、
あれは100万年前は海の底だったのです。
それほど長い時間のことを言っているわけで、
私たちがわずか何十年間で使った放射能のゴミを100万年も、
後々までじっとしておいてくれと望むこと自身が、まずはおかしいと思いますし、
「そのようなやり方をやってはいけない」と私はずーーっと言ってきました。
で、少なくともそういうやり方がダメなのであれば、
私たちの目の黒い場所で保管を続けるしかないし、
そのやり方というのは「乾式貯蔵しかない」と私は言ってきましたので、
学術会議が、ようやくにしてそこまで言ってくれるようになったということで、
ありがたいとは思いますけれども、なんで今まで学術会議が日本の原子力の暴走を認め続けてきたのか?と。
むしろ私は、…ちょっと文句も言いたいな、と思っています。
平野:その気になれば今は、これはもう実現できるんですか?
小出:
使用済み燃料というのは、かなり膨大な発熱体ですので、
原子炉から取り出した直後はプールで保管するしかありません。
でも、4年とか5年とか経ちますと、崩壊熱と言っている放射能が出す熱が随分減ってくれますので、
金属製のキャスクという、鉛と鋼鉄でできた容器の中に入れて、
いわゆる空冷で冷やすことができるという状態になるのです。
実際に世界でやっていますし、日本の原子力発電所も、
例えば東海第二原子力発電所とかいうところでは、
プールではなくて、金属製のキャスクに入れて、空冷で建屋内で保管をするということを既にやっています。
で、青森県のむつ市には東京電力と日本原子力発電が、中間貯蔵施設という貯蔵施設を作って、
金属製のキャスクで空冷式の保管をしようとして、もうすでにその建屋もできているという、
そういう状態になっていますので、やろうとすれば出来ます。
ただし、私自身はその乾式貯蔵の場所というのをこれまでやってきたように
過疎地に押し付けるということではなくて、「都会に作ってくれ」と私は言っています。
東京電力の本社ビルの地下、あるいは関西電力の本社ビルの地下でもいいわけですから、
そういうところにおいて、都会の人達が自分達の生んだゴミというのをきちっと認識すべきだと思っています。
水野:でも、「50年経ったら安全」というわけじゃない…ですよね。
小出:
もちろん違います。
50年たっても結局やり方がわからないということに多分なると思いますし、
それからまた50年間、なにがしかのやり方を考えるということになると思います。
水野:次のやり方を考えながら走らざるを得ない…
小出:はい
もちろん私は死んでいるし、平野さんも水野さんも死んでしまっているわけですけれども、
「そういうゴミというものを原子力というのは生んでいるんだ」ということを、
皆さんも認識して欲しいと思います。
26:33
水野:
小出先生は今月末で京都大学を退官なさるというふうに伺っておりますけれども、
今後もまた色々教えていただきたいと思いますので、
今後ともどうぞよろしくお願いたします。
小出:はい、ありがとうございました。
水野:京都大学原子炉実験所助教小出裕章さんにうかがいました、ありがとうございました。
ー参考ー
東日本大震災4年~福島と原発のいま
21:19〜https://youtu.be/5GXzqghUwIY?t=21m19s
核のゴミ
水野:
小出さん、次は「核のゴミ」について伺いたいんですけれども、
原発再稼働への動きが進められている中で、
科学者の団体である日本学術会議というところが発表したものがあります。
それは「再稼働の条件」として、
「原発から出る核のゴミの対策を明確にしなさい」という提言なんですね。
これは具体的には「50年間の乾式貯蔵」というのを提案していると言うんです。
これはどう評価なさいます?
小出:
日本学術会議というのは、「学者の国会」と呼ばれるように、
学者の中の本当に偉い人たちが会員になって作っている団体なのです。
その団体がようやくにして、これまでの日本がやってきたやり方。
というのは、原子力発電所から出てきたゴミを「
地下深いところに埋め捨てにしてしまえ」というのが日本のこれまでの方針だったのですけれども、
「そんなものはダメだ」と言って、最近になってようやく提言を出してくれるようになったのです。
私は今水野さんが言ってくださったように、
「乾式貯蔵でやるしかない」と、もうずーーーっと昔から言ってきた人間なのです。
「埋め捨て」にするなんていうことをやってはいけない。
「埋め捨て」にしたところで100万年間そこにじっとしていてくれなければいけないというようなことは、
科学が保障できるようなことではないので、
水野:100万年埋めたままの状態が保証できるか?っていうことですね?
小出:そうです。
水野:「地球は変わる」っていうことです。
小出:
はい。
例えば関西には六甲山という山があります。
標高約900mあるはずですけれども、
あれは100万年前は海の底だったのです。
それほど長い時間のことを言っているわけで、
私たちがわずか何十年間で使った放射能のゴミを100万年も、
後々までじっとしておいてくれと望むこと自身が、まずはおかしいと思いますし、
「そのようなやり方をやってはいけない」と私はずーーっと言ってきました。
で、少なくともそういうやり方がダメなのであれば、
私たちの目の黒い場所で保管を続けるしかないし、
そのやり方というのは「乾式貯蔵しかない」と私は言ってきましたので、
学術会議が、ようやくにしてそこまで言ってくれるようになったということで、
ありがたいとは思いますけれども、なんで今まで学術会議が日本の原子力の暴走を認め続けてきたのか?と。
むしろ私は、…ちょっと文句も言いたいな、と思っています。
平野:その気になれば今は、これはもう実現できるんですか?
小出:
使用済み燃料というのは、かなり膨大な発熱体ですので、
原子炉から取り出した直後はプールで保管するしかありません。
でも、4年とか5年とか経ちますと、崩壊熱と言っている放射能が出す熱が随分減ってくれますので、
金属製のキャスクという、鉛と鋼鉄でできた容器の中に入れて、
いわゆる空冷で冷やすことができるという状態になるのです。
実際に世界でやっていますし、日本の原子力発電所も、
例えば東海第二原子力発電所とかいうところでは、
プールではなくて、金属製のキャスクに入れて、空冷で建屋内で保管をするということを既にやっています。
で、青森県のむつ市には東京電力と日本原子力発電が、中間貯蔵施設という貯蔵施設を作って、
金属製のキャスクで空冷式の保管をしようとして、もうすでにその建屋もできているという、
そういう状態になっていますので、やろうとすれば出来ます。
ただし、私自身はその乾式貯蔵の場所というのをこれまでやってきたように
過疎地に押し付けるということではなくて、「都会に作ってくれ」と私は言っています。
東京電力の本社ビルの地下、あるいは関西電力の本社ビルの地下でもいいわけですから、
そういうところにおいて、都会の人達が自分達の生んだゴミというのをきちっと認識すべきだと思っています。
水野:でも、「50年経ったら安全」というわけじゃない…ですよね。
小出:
もちろん違います。
50年たっても結局やり方がわからないということに多分なると思いますし、
それからまた50年間、なにがしかのやり方を考えるということになると思います。
水野:次のやり方を考えながら走らざるを得ない…
小出:はい
もちろん私は死んでいるし、平野さんも水野さんも死んでしまっているわけですけれども、
「そういうゴミというものを原子力というのは生んでいるんだ」ということを、
皆さんも認識して欲しいと思います。
26:33
水野:
小出先生は今月末で京都大学を退官なさるというふうに伺っておりますけれども、
今後もまた色々教えていただきたいと思いますので、
今後ともどうぞよろしくお願いたします。
小出:はい、ありがとうございました。
水野:京都大学原子炉実験所助教小出裕章さんにうかがいました、ありがとうございました。
ー参考ー
日本学術会議、核ごみ対策提言へ 再稼働条件で明確化要請
長崎新聞 2015年2月17日 18:01
日本学術会議が開いた「核のごみ」の最終処分に関する検討委員会で、政策提言案について議論する今田高俊委員長=17日午後、東京都港区
日本学術会議は17日、原発から出る「核のごみ」の最終処分に関する検討委員会(委員長・今田高俊東工大名誉教授)を開き、原発再稼働の条件として、核のごみ対策の明確化を政府と電力会社に求める政策提言案について議論した。3月にも正式に公表する。
日本学術会議の提言案は、原発の高レベル放射性廃棄物の処分地が決まらないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判。原発推進、脱原発など立場にかかわらず、再稼働で生じる廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」を議論すべきだとしている。
核のごみ:日本学術会議が計12項目の政策提言
毎日新聞 2015年02月17日 21時47分
有識者で作る日本学術会議は17日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分のあり方を議論する検討委員会(委員長=今田高俊・東京工業大名誉教授)を開いた。ごみを地中深くに埋める地層処分を将来的に導入することを前提にしつつも、原則50年間、地上施設で暫定的に保管することなどを含む政策提言をまとめた。
提言は計12項目。核のごみの保管・処分は電力会社の責任と明記。電力会社が配電地域ごとに暫定保管施設を少なくとも1カ所設置するように求めた。同時に、原発再稼働や新増設に当たっては、こうした暫定保管施設の確保を前提条件とすることも盛り込んだ。
国民の合意形成を図るため、市民が参加する「核のごみ問題国民会議」の設置も提唱した。今田委員長は記者会見で「再稼働を進めるなら、政府はごみ処分方針について国民に明確なプランを示す必要がある」と述べた。【中西拓司】
京大:反原発の闘いこれからも…小出裕章助教が定年退職へ
毎日新聞 2015年02月19日 15時15分(最終更新 02月19日 16時17分)
小出裕章さん=2014年7月、松井豊撮影
京都大学原子炉実験所=大阪府熊取(くまとり)町=の研究者として、40年以上、原発の危険性を指摘し続けてきた小出裕章(こいで・ひろあき)助教(65)が3月末で定年退職を迎える。市民に分かりやすい語り口で原子力利用に伴うリスクを訴える論客で、東京電力福島第1原発事故以降は週末ごとに全国の市民団体などの求めに応じて講演してきた。今月27日には同僚と始めた自主講座「原子力安全問題ゼミ」で最終講義をする。
◇今月27日「最終ゼミ」
小出さんは1974年、実験所に助手として採用された。もともと「原子力開発に命をかけるつもりだった」という原発推進派だったが、原発が都会に建てられず、過疎地に危険性が押しつけられている現実を知り、一転、反対派に。原発に批判的な実験所の同僚5人と研究グループを作り、市民が参加可能な「安全問題ゼミ」を開いた。活発な反原発の動きが注目され、「熊取の6人組」などと呼ばれた。
福島原発事故以後は、日常業務の傍ら週末などに約230回講演に出かけ、ラジオ番組に約150回出演した。27日午後2時から実験所で開く最終講義は「原子力廃絶の道のり」がテーマという。退職後は長野県に移住する計画を立てている。一方で「福島事故で苦難の底にいる人たちを考えれば、簡単には引き下がれない」と話し、7月末まで講演の予定が入っているという。【大島秀利】
京大の小出助教「原子力は危険」 定年退職前に最終講演
福井新聞(2015年2月28日午後4時09分)
公開勉強会で、定年退職を前に最後の講演をする京都大原子炉実験所の小出裕章助教=27日午後、大阪府熊取町
京都大原子炉実験所(大阪府)の小出裕章助教(65)は3月の定年退職を前にした27日、公開勉強会で最後の講演をした。「原子力は徹底的に危険で差別的。事故が起きれば古里を追われる」と話し、あらためて原発の危険性を訴えた。
福島第1原発の事故について「起きる前に何とか止めたかった。無力さを感じる」と話した。
事故により原発に絶対的な安全はあり得ないと明らかになったのに、国は安全性を確認したとして再稼働を進めようとしていると批判。「巧妙なすり替えだ。福島の事故はまだ終わっていない」と述べた。
報道するラジオ 2015年3月13日
「東日本大震災4年~福島と原発のいま」文字起こしブログ
<1.中間貯蔵施設>
「弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
<2.廃炉への道>
「今更『ミュー粒子でどこにあるか?』なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
<3.核のゴミ>
「六甲山という山がありますけれども、 あれは100万年前は海の底だったのです」
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり
引用元:
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4146.html
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