2014年4月30日水曜日

国内に留める限り、子供は守れない







日本というこの国では1キログラム当たり100ベクレルという基準値を決めて、それ以下ならば安全だから気にするな、という作戦に彼らが打って出てきてしまっていて、ひとつひとつの食べ物がどこまで汚れてしまっているかを私たちが知ることができない状況においやられているのですね。
ですから、私は気をつけて下さいと、どなたにもお願いをしますけど、多分できないと思います。
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聞き手:
今日は「母乳と放射性物質について」というテーマでおうかがいします。チェルノブイリ事故の時に、お母さん方の母乳を1リットル調べて欲しいと頼まれたことがあるそうですが・・・
小出さん
チェルノブイリから放射能が飛んできまして、日本で採れるものもさまざまなものが汚れたのです。その中で日本に住んでいる母親の母乳を調べてくれ、という依頼が届きまして、それをやったことがあります。
聞き手:
その結果はどうだったのですか?
小出さん
1リットルの母乳を私は頂きまして、その母乳を測定したところ、ヨウ素131という放射性物質が1ベクレルを超えて含まれてきました。本来はゼロのはずなのですけれども、1ベクレルを超えて含まれていて、こんなところまで来るんだな、そして、母乳にまで出てしまうんだな、と思った記憶があります。
聞き手:
そうすると、今回も母乳に放射性物質が含まれる可能性が高いということですか?
小出さん
当然、福島の母親の母乳の中にはヨウ素があったはずです。今、数字をはっきり覚えていませんが、1リットル当たり1ベクレル、あるいは、零点何ベクレルというものがあちこちであったと思います。
聞き手:
何か防衛する手段はあるのですか?
小出さん
要するに、母親という生き物を含めて、この環境の中で生きているのですね。環境が放射能で汚れてしまえば、そこで生きている生き物の体が汚れることは基本的には避けることができないと思って頂くしかありません。
ただし、程度の問題で皆さん、もちろん少しでも下げたいと思うでしょうし、そのためにはもちろんやることはたくさんあります。例えば、母乳が汚れるということは母親の体が汚れているわけですけれども、呼吸で吸い込む放射性物質を減らす、食べ物で取り込むものを減らす、或いは水道水の中の汚れを減らす、というようなことはなにがしかできるわけですから、やるべきだろうと思いました。
聞き手:
母乳が含まれているからといって粉ミルクにすればいいというわけではないのですね?
小出さん
もちろんですね。赤ん坊というのは、母乳で生きているわけですけれども、母乳の汚染というのは極力避けるというのはもちろん、大切なことですね。
ただ、母乳をやめて粉ミルクにしたとしても、粉のまま舐めさせるわけではないのですね。水道水を沸騰させてそれに粉ミルクを溶かして冷やして与えるということをやるのと思いますが、当時は水道水も汚れていたのです。
日本の福島の事故の後で、東京の金町浄水場の水も汚れているという話がありましたけど、水道水自身が汚れてしまっているわけですから、粉ミルクを溶かしたとしてもやはりだめなわけです。
小出裕章ジャーナル
聞き手:
家庭の水道の蛇口につける、活性炭の入った浄水器などで取り除くことはできるのですか?
小出さん
ある程度はできるのだろうな、ということはチェルノブイリの時も思いましたが、今でもある程度はできるはずだと思っています。
ただし、チェルノブリの事故の時に母乳の汚染を検出したお宅ですぐにやったのです。水道水そのままではなくて、活性炭をつけて、活性炭でヨウ素、あるいは他の物質を取り除いて、母親自身をきれいにしようと努めたことがあったのです。
暫く活性炭の浄水器を使っていて、ひと月ぐらいだったと思いますが、使った後に活性炭ももらったのです。その活性炭の放射性物質を測定してみたのです。残念ながら、私の期待したようには、活性炭は有効ではありませんでした。
聞き手:
家庭でできることと言えば、蛇口に活性炭をつけることしか思いつかないのですけど・・・
小出さん
食べ物の汚染の低いものを妊婦の方は食べる。あるいは、小さな赤ん坊を持っている母親は汚染の高い食べ物を避けるということをやるべきだと思います。
今、日本というこの国では1キログラム当たり100ベクレルという基準値を決めて、それ以下ならば安全だから気にするな、という作戦に彼らが打って出てきてしまっていて、ひとつひとつの食べ物がどこまで汚れてしまっているかを私たちが知ることができない状況においやられているのですね。
ですから、私は気をつけて下さいと、どなたにもお願いをしますけど、多分できないと思います。
聞き手:
1キロ当たり何ベクレルかきちんと表記して、消費者が選べるようにやるべきだと、小出さんは以前からおっしゃってましたね?
小出さん
そうです。それが何よりも大切なことであって、消費者が自分で判断できるようにするのが本当の民主主義だと私は思うのですが、残念ながら、この日本というのはそうではなくて、お上が決めた方針が全て正しいと、それでやれといわれているのですね。
庶民の方が。本当ならば、私たち庶民、あるいはひとりひとりの個人がちゃんと情報を得て、判断できる形を作らなくてはいけないわけで、そのような形が作れるように、それぞれの生きている現場で行政に働きかけるなり、選挙というものがどこまで有効か私はますます疑問になってきましたけど、選挙の時にきちんとした候補者を選ぶとかですね、やはり、有効な手だてがありませんけど、仕方がないのでひとつひとつやるしかないと思います。
聞き手:
そういうことですね。はい、今日もありがとうございました。



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