たね蒔きジャーナル「小出先生のコーナー」最終回9/27ー1千万ベクレル/時・原発ゼロ・放射線の正しい使い方他ー(内容書き出し)
・1000万ベクレル/時放出ってどんな数字?
・ウランが枯渇すれば必然的に原発はゼロ?
・小出先生は規制委員会に呼ばれたら参加されますか?
・放射線測定器の正しい使い方
・終わりの時間になりました
2012年9月28日水曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
千葉猛
二木一夫 /毎日新聞・大阪本社論説委員
千葉:
京都大学原子炉実験所の小出裕章さんです。
では小出さん、今日もよろしくお願いいたします。
小出:よろしくお願いします
千葉:今日は毎日新聞論説委員の二木一夫さんと一緒にお話を伺います。
二木:先生こんばんは
小出:はい、二木さんこんばんは、よろしくお願いします。
千葉:
えー、今日は小出さんのこの番組へのご出演が最後の日になりますので、
リスナーのみなさんからの質問を出来るだけ伺ってまいりたいと思っています。
よろしくおねがいします。
では早速まいります、
FAXの質問です。
9月25日の新聞で、
東京電力は24日福島第一原発から大気中へ放出されている放射性セシウムの量が、
9月も1時間当たり1000万ベクレルと推定されると発表したとあります。
この数字はどのように見たらいいんでしょうか?教えてもらえませんか。という質問です。
1000万ベクレル/時放出ってどんな数字?
小出:
はい、1000万という数字を聞くと
みなさんそれが膨大な量だと多分受け止められると思いますが、
事故直後はそれのまた10億倍というような放射能が流れてきていました。
2週間ぐらいのトータルですけれども、
今現在で言うなら、事故直後に出ていた量の
たぶん100万分の1とかそれぐらいまで低減しているという事だと思います。
千葉:100万分の1まで低減しても1000万ベクレル。
小出:そうです。1時間当たりですね。
千葉:これは本来大気中に放出されてはいけないものですよね、もちろん。
小出:
もちろんいけません。
1000万ベクレルというような放射能を毎日毎日、四六時中出すなんていう事は
通常はあり得なかったことですけれども、
今現在は残念なことに福島第一原子力発電所が、もうボロボロに破壊されてしまっていますので、
この程度の放射性物質が出てくることは、やむを得ないと思うしかありません。
千葉:もう、これを止めるすべというのは、いまのところ…
小出:
今のところはありません。
ま、事故当時に比べれば随分減ってくれていますので、
何とかこれ以上、また劇的に出るような事を防ぐという事が出来ることの精一杯です。
二木:人の体への影響というのはどうなんでしょうか?
小出:
もちろん放射能ですから、影響は必ずあります。
ただし、今聞いていただきましたように、
事故直後には猛烈な放射能がすでに出てきてしまっていて、
その出てきた放射能が大地そのものを全部汚してしまっているのです。
それに対する被ばくに比べれば、今現在福島第一原子力発電所から出てきている放射性物質の量は
随分少ないと思いますし、そちらを心配するよりは、
すでに自分たちの周りを汚染してしまっている放射性物質を心配したほうが良いだろうと思います。
千葉:もうそれぐらい沢山のものが出てしまっているという事ですね
小出:そうです。
<参考>福島第一原発1~3号機から大気中に現在放出されているセシウムの量
ウランが枯渇すれば必然的に原発はゼロ?
千葉:
分かりました。では次の質問にいきます。
ウランの原料の産出の寿命は、厳しい評価であと17年。
日本の電気事業連合会では後70年、
平均でおよそ30年程度で終わりというのが専門家の評価だと聞きました。
ウランという原料が非常に少ない燃料で、あと30年程度で生産できないという事は、
いずれにせよ原子力発電は止めなければいけないという事ですよね。
2030年にゼロにするのではなくて、
ゼロになるというのが必然だという事になりませんでしょうか?という質問です。
小出:
ゼロになるのは必然です。
それが何年後に来るかという事で、日本の原子力関係者は70年という数字を出しているんですし、
もっと小さな数字を出している世界の団体もあります。
いずれにしても数10年という期間がくれば原子力発電の燃料であるウランは無くなってしまいます。
地球上にあるウランは、なかなか貴重な資源であって、
かつて考えられていたように、
石油や石炭がなくなってしまうから次は原子力だというのは全くの間違いでして、
ウランは石油や石炭がなくなるもっとずっと早く前に無くなってしまいます。
千葉:
そしたらば、そのあとにはもう膨大な放射性廃棄物、
何万年も付き合わなきゃいけないような放射性廃棄物が、残るだけという事になるんですか
小出:
そうです、
私たちの世代、ま、次の世代もなにがしかそうかもしれませんが、
何十年かという期間の間だけ原子力発電を利用する訳ですが、
それが過ぎた後の何十万年・何百万年の世代は、
私たちの世代が生み出したゴミだけを押し付けられて過ごさなければならなくなります。
千葉:未来の人達に、その重荷を背負わせ続けるという事になるわけですね。
小出:
そうです。
大変倫理的な問題ですし、
そんな事でいいのかという事を今の世代がしっかりと考えなければいけません。
小出先生は規制委員会に呼ばれたら参加されますか?
千葉:
はい、では次へまいります。
次は千葉県にお住まいの方です。
もし、原子力規制委員会への参加を打診されたら、お受けになりますか?小出さんは。
出来ればお受けしてほしいと私は思っています。
という質問なんですがいかがですか?
小出:すみませんが、絶対にお受けしません。
千葉:それはやはり、日本の政府というものが信用できないからですかね。
小出:
もちろん、政府は全く信用できませんし、議会すら私は信用していません。
もともと日本の議会が原子力基本法というものをつくって、
「これからは平和利用に限る」けれども、
とにかくどんどん原子力をやるんだという事にしてしまったのです。
そのもとで原子力委員会、原子力安全委員会さまざまな組織がつくられてきましたし、
今度新しく原子力規制委員会というものになろうとしているのですけれども、
全ては原子力基本法のもとで原子力発電を進めるという大前提のもとに置かれている組織です。
いずれにしてもその原子力を推進するという方針に逆らうことは許されませんし、
そのための手助けをしてしまう事になってしまいます。
二木:
そうするとま、政府の方が2030年代に原発をゼロにという方針を示しましたけれど、
それについてはどうお考えですか?
小出:
2030年、
もともとは政府がパブリックコメントをもとめて、
2030年という時点でゼロにするのがいいのか、15にするのがいいのか、25にするのがいいのか、
意見を言えと国民に求めたのですね。
その結果ゼロにするというのが圧倒的に多かった。
それも2030年ではなくて、「即刻ゼロにするのがいい」という意見が大変多かったのですが、
政府は、まぁ、思惑が外れたのでしょうが、
2030というその数字をまた使いながら、
それが今度は2030年代と言い始めたのですね。
2030年代というのは2039年の末までという事ですから、
数字に直すならば2040年までという事に、
ま、言葉の詐術だと私は思いますけれども、時間をさらに流してゼロを目指すと言いだしたのです。
それも閣議決定をはじめはすると言っていたわけですけれども、
米国と財界からの横槍を受けて、閣議決定すらが出来ないという事になりましたし、
次の総選挙でもし、自民党が返り咲くような事になれば、
またまた原子力をどんどんやるんだという事に、結局なってしまいます。
<参考>下記番組内で「規制委員会に呼ばれたらどうするか」小出先生が具体的な答えています。
原子力規制委員会の委員長の人事は今のまま進んでいいのだろうか?
8/9そもそも総研(内容書き出し)
放射線測定器の正しい使い方
千葉:
えー、ではもう一つ質問に参ります。
放射線測定器を最近購入していろいろと測っているんですが、
小出さんの「騙されたあなたにも責任がある」という本の中で、
測定器を買って、
たとえば「1時間当たりここで1マイクロシーベルトという数字が出た。大変だ!」
という使い方をして欲しくないとあるのですが、それはどんな意味からなのか?
答が書かれていなくて気になっています。
放射能は値が低いから安全だという測定器を持つことによる間違った認識はして欲しくないという
小出さんの考えが込められているのかなと予想をしています。
実際のところどうなんでしょうか?という質問です。
小出:
はい、どうも言葉足らずの書き方になってしまっていたようで、大変失礼しました。
ただ、私自身は放射線を測定するという事を自分の仕事にしている人間ですが、
その私が言うのは大変傲慢に聞こえるかもしれませんが、
放射線を測定するというのは大変難しい仕事です。
それなりの知識も必要ですし、測る放射線の種類に合わせて、また特殊な測定器も必要です。
最近みなさんが沢山の放射線測定器というものをそれぞれに買って下さって、
それぞれに測定してくださっているのですが、
あまり、その測定した値というもの自身が正しいと思って欲しくないという意味で
わたしはそこに書きました。
たとえば10台の測定器を一つの場所に並べてスイッチを入れてみると、
その10台はすべて違う値を示す筈だと思います。
それをまた別の場所に持って行ってみれば、きっとまた全部違う値を示す筈です。
初めの場所で一番高かった測定器が、今度は一番低くなってしまうかもしれない。という、
それぐらい大きな誤差のあるものです。
ですから出てきた数値が0.5であった、あるいは1だったという、その数値だけを、
数値の絶対値だけをですね、あまり気にしないで欲しいと私は思います。
お持ちの測定器を今この場所で測った。
それを別の場所でまた測ってみた。
さらにまた別の場所で測ってみたという事をやって、
どっちの場所が高いのか、どっちが低いのかと、
というような測定の仕方は多分なにがしかの役には立つと思います。
そういう事を沢山のみなさんで、様々な測定器を使いながら、
どこが汚染が高そうだ、低そうだという、そういう事に使っていただくのが一番いいと思います。
<参考>「一般の人が線量計を手に入れて測る場合に注意する事」に小出先生が答えていらっしゃいます。
たねまきJ「線量計について、作業員、福島の子ども、個人」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)6/15
終わりの時間になりました
千葉:
はい。わかりました。
小出さん、まだまだお伺いしたい事があるんですけれども、ここで時間になってしまいました。
これまで本当にどうもありがとうございました。
小出:
とんでもありません。
千葉さん、長い間本当にありがとうございました。
千葉:
いいえこちらこそ。
本当に小出さんの話で、本当に大切なことが知ることが出来ました。
ラジオも向こうでも多くのお聞きの方がそう考えていらっしゃると思うんですが、
実はこんなメールもきておりますので、これを最後に読ませていただきたいと思います。
徳島県の方です。
不幸な出来事との引き換えにはなりましたが、
あの日の前と後では原発に対しての知識が大きく増えました。
小出先生の解説はすごく分かりやすかったです。
また、無念さからか、時々言葉に詰まってしまうところも印象的でした。
知った以上は責任を持って行動したいと思っています。
小出さん、本当にありがとうございました。
とメールを頂いております。
小出さん最後にリスナーのみなさんに何かひとことお願いします。
小出:
はい、ありがとうございました。
こういうリスナーの方々に巡り合えただけでも私は嬉しいです。
今日で私はたね蒔きジャーナルという番組からは「さようなら」をする事になりますし、
たね蒔きジャーナルそのものも明日を最後に無くなってしまうという事になるそうです。
大変長い間、いい番組を守ってきて下さったスタッフの皆さんにお礼を申し上げたいと思いますし、
お付き合い下さったリスナーの皆さんにも感謝したいと思っています。
これからも皆さんのご活躍をお祈りしております。
千葉:小出さん、今後も情報を発信していって下さいね。
小出:はい。ありがとうございます。
千葉:
本当に何度お礼を言っても言いつくせない気持ちですが、
本当にありがとうございました。
小出:こちらこそありがとうございました。
千葉:京都大学原子炉実験所の小出裕章さんにお話を伺いました。
ーーーー
おわっちゃった・・・・
日本が明日にでも終わってしまうのではないか、
一体何が起こっているのか
何の知識もなく、なんにも分からない時に、
Youtubeにアップして下さっている「たね蒔きジャーナル」を初めて見つけて、
温かく誠実な言葉で真実を伝えて下さる小出先生を知りました。
あの頃は、毎日毎日小出先生の解説を聞かないと不安でたまらなかった。
小出先生の声が風邪っぽい時には、疲れていらっしゃるんだろうなと心配になったり、
あ、今日はお元気そうだと、そんな事を感じながら聞いていました。
そして私は、毎日Youtubeにして公開して下さる方々にとても感謝をしています。
最初の頃は、忘れちゃいけないとブログには要点だけを書き出していました。
話がだんだん複雑になってきた時に、
要点のみの書き出し方だと、読み方によっては誤解が生まれると思ってきました。
誠実な小出先生の言葉を省いて書き出したが為に誤解を生んではいけないと思い、
出来るだけ正確に書き出そうと思うようになったのが、このブログに書き出しが多い最初の始まりです。
ブラインドタッチなんかとんでもなく、
約10分弱のコーナーなのに、最初の頃は何時間もかかっていました。
でも、ただ、小出先生の声を聞いて、その言葉を心に刻むように書くことによって、
原発事故と膨大な放射能による不安な毎日を乗り切れてこられたように思っています。
そんな意味からもたね蒔きジャーナルの小出先生のコーナーは
私にとっては精神的な面で大きな支えになっていました。
今でも、週に2日だけになってしまっていたけれども、
私が見逃しているニュースが、実は大事な事だったのだと気づかされることが多く、
その時その時に事実を知ることが出来る貴重な場所でした。
これからは、こんなふうに定期的に小出先生の解説を伺う事が出来るのか?
どこで聞くことが出来るのか?どうすればいいのか?
その事がとても不安です。
1年半、学費も払わずに貴重な勉強を沢山させていただきました。
まだまだ自立できる自信はありません。
でも、私なりに埋もれてしまいそうな大事なことに目を向けていきたいと思っています。
わたしの地域からでは、たね蒔きジャーナルを直接聞くことができません。
毎日、毎日たね蒔きジャーナルをYoutubeにUPして下さった方。
このブログでは3カ所の方からの動画を使わせていただいてきました。
心からお礼を申し上げます。
毎日かかさずたね蒔きジャーナルを聞くことが出来る環境を与えて下さってありがとうございました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
この場で心からお礼を申し上げさせていただきます。
ありがとうございました。
そして、これからも、私に大事なことを教えて下さい(←ちゃっかりお願いしちゃうのだw)
・ウランが枯渇すれば必然的に原発はゼロ?
・小出先生は規制委員会に呼ばれたら参加されますか?
・放射線測定器の正しい使い方
・終わりの時間になりました
2012年9月28日水曜日
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章先生に伺いました
Radio News「たねまきジャーナル」
MBSラジオ [MBS1179.com]
千葉猛
二木一夫 /毎日新聞・大阪本社論説委員
千葉:
京都大学原子炉実験所の小出裕章さんです。
では小出さん、今日もよろしくお願いいたします。
小出:よろしくお願いします
千葉:今日は毎日新聞論説委員の二木一夫さんと一緒にお話を伺います。
二木:先生こんばんは
小出:はい、二木さんこんばんは、よろしくお願いします。
千葉:
えー、今日は小出さんのこの番組へのご出演が最後の日になりますので、
リスナーのみなさんからの質問を出来るだけ伺ってまいりたいと思っています。
よろしくおねがいします。
では早速まいります、
FAXの質問です。
9月25日の新聞で、
東京電力は24日福島第一原発から大気中へ放出されている放射性セシウムの量が、
9月も1時間当たり1000万ベクレルと推定されると発表したとあります。
この数字はどのように見たらいいんでしょうか?教えてもらえませんか。という質問です。
1000万ベクレル/時放出ってどんな数字?
小出:
はい、1000万という数字を聞くと
みなさんそれが膨大な量だと多分受け止められると思いますが、
事故直後はそれのまた10億倍というような放射能が流れてきていました。
2週間ぐらいのトータルですけれども、
今現在で言うなら、事故直後に出ていた量の
たぶん100万分の1とかそれぐらいまで低減しているという事だと思います。
千葉:100万分の1まで低減しても1000万ベクレル。
小出:そうです。1時間当たりですね。
千葉:これは本来大気中に放出されてはいけないものですよね、もちろん。
小出:
もちろんいけません。
1000万ベクレルというような放射能を毎日毎日、四六時中出すなんていう事は
通常はあり得なかったことですけれども、
今現在は残念なことに福島第一原子力発電所が、もうボロボロに破壊されてしまっていますので、
この程度の放射性物質が出てくることは、やむを得ないと思うしかありません。
千葉:もう、これを止めるすべというのは、いまのところ…
小出:
今のところはありません。
ま、事故当時に比べれば随分減ってくれていますので、
何とかこれ以上、また劇的に出るような事を防ぐという事が出来ることの精一杯です。
二木:人の体への影響というのはどうなんでしょうか?
小出:
もちろん放射能ですから、影響は必ずあります。
ただし、今聞いていただきましたように、
事故直後には猛烈な放射能がすでに出てきてしまっていて、
その出てきた放射能が大地そのものを全部汚してしまっているのです。
それに対する被ばくに比べれば、今現在福島第一原子力発電所から出てきている放射性物質の量は
随分少ないと思いますし、そちらを心配するよりは、
すでに自分たちの周りを汚染してしまっている放射性物質を心配したほうが良いだろうと思います。
千葉:もうそれぐらい沢山のものが出てしまっているという事ですね
小出:そうです。
<参考>福島第一原発1~3号機から大気中に現在放出されているセシウムの量
ウランが枯渇すれば必然的に原発はゼロ?
千葉:
分かりました。では次の質問にいきます。
ウランの原料の産出の寿命は、厳しい評価であと17年。
日本の電気事業連合会では後70年、
平均でおよそ30年程度で終わりというのが専門家の評価だと聞きました。
ウランという原料が非常に少ない燃料で、あと30年程度で生産できないという事は、
いずれにせよ原子力発電は止めなければいけないという事ですよね。
2030年にゼロにするのではなくて、
ゼロになるというのが必然だという事になりませんでしょうか?という質問です。
小出:
ゼロになるのは必然です。
それが何年後に来るかという事で、日本の原子力関係者は70年という数字を出しているんですし、
もっと小さな数字を出している世界の団体もあります。
いずれにしても数10年という期間がくれば原子力発電の燃料であるウランは無くなってしまいます。
地球上にあるウランは、なかなか貴重な資源であって、
かつて考えられていたように、
石油や石炭がなくなってしまうから次は原子力だというのは全くの間違いでして、
ウランは石油や石炭がなくなるもっとずっと早く前に無くなってしまいます。
千葉:
そしたらば、そのあとにはもう膨大な放射性廃棄物、
何万年も付き合わなきゃいけないような放射性廃棄物が、残るだけという事になるんですか
小出:
そうです、
私たちの世代、ま、次の世代もなにがしかそうかもしれませんが、
何十年かという期間の間だけ原子力発電を利用する訳ですが、
それが過ぎた後の何十万年・何百万年の世代は、
私たちの世代が生み出したゴミだけを押し付けられて過ごさなければならなくなります。
千葉:未来の人達に、その重荷を背負わせ続けるという事になるわけですね。
小出:
そうです。
大変倫理的な問題ですし、
そんな事でいいのかという事を今の世代がしっかりと考えなければいけません。
小出先生は規制委員会に呼ばれたら参加されますか?
千葉:
はい、では次へまいります。
次は千葉県にお住まいの方です。
もし、原子力規制委員会への参加を打診されたら、お受けになりますか?小出さんは。
出来ればお受けしてほしいと私は思っています。
という質問なんですがいかがですか?
小出:すみませんが、絶対にお受けしません。
千葉:それはやはり、日本の政府というものが信用できないからですかね。
小出:
もちろん、政府は全く信用できませんし、議会すら私は信用していません。
もともと日本の議会が原子力基本法というものをつくって、
「これからは平和利用に限る」けれども、
とにかくどんどん原子力をやるんだという事にしてしまったのです。
そのもとで原子力委員会、原子力安全委員会さまざまな組織がつくられてきましたし、
今度新しく原子力規制委員会というものになろうとしているのですけれども、
全ては原子力基本法のもとで原子力発電を進めるという大前提のもとに置かれている組織です。
いずれにしてもその原子力を推進するという方針に逆らうことは許されませんし、
そのための手助けをしてしまう事になってしまいます。
二木:
そうするとま、政府の方が2030年代に原発をゼロにという方針を示しましたけれど、
それについてはどうお考えですか?
小出:
2030年、
もともとは政府がパブリックコメントをもとめて、
2030年という時点でゼロにするのがいいのか、15にするのがいいのか、25にするのがいいのか、
意見を言えと国民に求めたのですね。
その結果ゼロにするというのが圧倒的に多かった。
それも2030年ではなくて、「即刻ゼロにするのがいい」という意見が大変多かったのですが、
政府は、まぁ、思惑が外れたのでしょうが、
2030というその数字をまた使いながら、
それが今度は2030年代と言い始めたのですね。
2030年代というのは2039年の末までという事ですから、
数字に直すならば2040年までという事に、
ま、言葉の詐術だと私は思いますけれども、時間をさらに流してゼロを目指すと言いだしたのです。
それも閣議決定をはじめはすると言っていたわけですけれども、
米国と財界からの横槍を受けて、閣議決定すらが出来ないという事になりましたし、
次の総選挙でもし、自民党が返り咲くような事になれば、
またまた原子力をどんどんやるんだという事に、結局なってしまいます。
<参考>下記番組内で「規制委員会に呼ばれたらどうするか」小出先生が具体的な答えています。
原子力規制委員会の委員長の人事は今のまま進んでいいのだろうか?
8/9そもそも総研(内容書き出し)
放射線測定器の正しい使い方
千葉:
えー、ではもう一つ質問に参ります。
放射線測定器を最近購入していろいろと測っているんですが、
小出さんの「騙されたあなたにも責任がある」という本の中で、
測定器を買って、
たとえば「1時間当たりここで1マイクロシーベルトという数字が出た。大変だ!」
という使い方をして欲しくないとあるのですが、それはどんな意味からなのか?
答が書かれていなくて気になっています。
放射能は値が低いから安全だという測定器を持つことによる間違った認識はして欲しくないという
小出さんの考えが込められているのかなと予想をしています。
実際のところどうなんでしょうか?という質問です。
小出:
はい、どうも言葉足らずの書き方になってしまっていたようで、大変失礼しました。
ただ、私自身は放射線を測定するという事を自分の仕事にしている人間ですが、
その私が言うのは大変傲慢に聞こえるかもしれませんが、
放射線を測定するというのは大変難しい仕事です。
それなりの知識も必要ですし、測る放射線の種類に合わせて、また特殊な測定器も必要です。
最近みなさんが沢山の放射線測定器というものをそれぞれに買って下さって、
それぞれに測定してくださっているのですが、
あまり、その測定した値というもの自身が正しいと思って欲しくないという意味で
わたしはそこに書きました。
たとえば10台の測定器を一つの場所に並べてスイッチを入れてみると、
その10台はすべて違う値を示す筈だと思います。
それをまた別の場所に持って行ってみれば、きっとまた全部違う値を示す筈です。
初めの場所で一番高かった測定器が、今度は一番低くなってしまうかもしれない。という、
それぐらい大きな誤差のあるものです。
ですから出てきた数値が0.5であった、あるいは1だったという、その数値だけを、
数値の絶対値だけをですね、あまり気にしないで欲しいと私は思います。
お持ちの測定器を今この場所で測った。
それを別の場所でまた測ってみた。
さらにまた別の場所で測ってみたという事をやって、
どっちの場所が高いのか、どっちが低いのかと、
というような測定の仕方は多分なにがしかの役には立つと思います。
そういう事を沢山のみなさんで、様々な測定器を使いながら、
どこが汚染が高そうだ、低そうだという、そういう事に使っていただくのが一番いいと思います。
<参考>「一般の人が線量計を手に入れて測る場合に注意する事」に小出先生が答えていらっしゃいます。
たねまきJ「線量計について、作業員、福島の子ども、個人」
小出裕章氏(内容書き出し・参考あり)6/15
終わりの時間になりました
千葉:
はい。わかりました。
小出さん、まだまだお伺いしたい事があるんですけれども、ここで時間になってしまいました。
これまで本当にどうもありがとうございました。
小出:
とんでもありません。
千葉さん、長い間本当にありがとうございました。
千葉:
いいえこちらこそ。
本当に小出さんの話で、本当に大切なことが知ることが出来ました。
ラジオも向こうでも多くのお聞きの方がそう考えていらっしゃると思うんですが、
実はこんなメールもきておりますので、これを最後に読ませていただきたいと思います。
徳島県の方です。
不幸な出来事との引き換えにはなりましたが、
あの日の前と後では原発に対しての知識が大きく増えました。
小出先生の解説はすごく分かりやすかったです。
また、無念さからか、時々言葉に詰まってしまうところも印象的でした。
知った以上は責任を持って行動したいと思っています。
小出さん、本当にありがとうございました。
とメールを頂いております。
小出さん最後にリスナーのみなさんに何かひとことお願いします。
小出:
はい、ありがとうございました。
こういうリスナーの方々に巡り合えただけでも私は嬉しいです。
今日で私はたね蒔きジャーナルという番組からは「さようなら」をする事になりますし、
たね蒔きジャーナルそのものも明日を最後に無くなってしまうという事になるそうです。
大変長い間、いい番組を守ってきて下さったスタッフの皆さんにお礼を申し上げたいと思いますし、
お付き合い下さったリスナーの皆さんにも感謝したいと思っています。
これからも皆さんのご活躍をお祈りしております。
千葉:小出さん、今後も情報を発信していって下さいね。
小出:はい。ありがとうございます。
千葉:
本当に何度お礼を言っても言いつくせない気持ちですが、
本当にありがとうございました。
小出:こちらこそありがとうございました。
千葉:京都大学原子炉実験所の小出裕章さんにお話を伺いました。
ーーーー
おわっちゃった・・・・
日本が明日にでも終わってしまうのではないか、
一体何が起こっているのか
何の知識もなく、なんにも分からない時に、
Youtubeにアップして下さっている「たね蒔きジャーナル」を初めて見つけて、
温かく誠実な言葉で真実を伝えて下さる小出先生を知りました。
あの頃は、毎日毎日小出先生の解説を聞かないと不安でたまらなかった。
小出先生の声が風邪っぽい時には、疲れていらっしゃるんだろうなと心配になったり、
あ、今日はお元気そうだと、そんな事を感じながら聞いていました。
そして私は、毎日Youtubeにして公開して下さる方々にとても感謝をしています。
最初の頃は、忘れちゃいけないとブログには要点だけを書き出していました。
話がだんだん複雑になってきた時に、
要点のみの書き出し方だと、読み方によっては誤解が生まれると思ってきました。
誠実な小出先生の言葉を省いて書き出したが為に誤解を生んではいけないと思い、
出来るだけ正確に書き出そうと思うようになったのが、このブログに書き出しが多い最初の始まりです。
ブラインドタッチなんかとんでもなく、
約10分弱のコーナーなのに、最初の頃は何時間もかかっていました。
でも、ただ、小出先生の声を聞いて、その言葉を心に刻むように書くことによって、
原発事故と膨大な放射能による不安な毎日を乗り切れてこられたように思っています。
そんな意味からもたね蒔きジャーナルの小出先生のコーナーは
私にとっては精神的な面で大きな支えになっていました。
今でも、週に2日だけになってしまっていたけれども、
私が見逃しているニュースが、実は大事な事だったのだと気づかされることが多く、
その時その時に事実を知ることが出来る貴重な場所でした。
これからは、こんなふうに定期的に小出先生の解説を伺う事が出来るのか?
どこで聞くことが出来るのか?どうすればいいのか?
その事がとても不安です。
1年半、学費も払わずに貴重な勉強を沢山させていただきました。
まだまだ自立できる自信はありません。
でも、私なりに埋もれてしまいそうな大事なことに目を向けていきたいと思っています。
わたしの地域からでは、たね蒔きジャーナルを直接聞くことができません。
毎日、毎日たね蒔きジャーナルをYoutubeにUPして下さった方。
このブログでは3カ所の方からの動画を使わせていただいてきました。
心からお礼を申し上げます。
毎日かかさずたね蒔きジャーナルを聞くことが出来る環境を与えて下さってありがとうございました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
この場で心からお礼を申し上げさせていただきます。
ありがとうございました。
そして、これからも、私に大事なことを教えて下さい(←ちゃっかりお願いしちゃうのだw)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2387.html
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