2014年6月7日土曜日

原子炉の爆発は、核爆弾よりも悲惨


第18回小出裕章ジャーナル
聞き手
今回は「沖縄特集」です。全国の電力会社で沖縄電力だけ原発を持っていないんですよね? 基地があるからですか?
小出さん
本当の思惑は私にはどうか分かりませんけれども、沖縄というところはみなさんがご承知の通り基地だらけになってしまっているわけで、そういうところに原子力発電所を建てるということは実質上できないと思います。
聞き手
裏を返すと、米軍は危険だということを知っていて、そういうところには作らないんだということですね?
小出さん
もちろんです。原子力発電所が攻撃を受けた時に、どんな被害が出るか、ということは米国の中ではたびたび計算まで行われていて、核兵器でやられるよりもっとひどい被害が出るということまで計算しているわけですから、基地のあるところに原子力発電所を建てるということは実質的にあり得ないと思います。
聞き手
戦中は発送電株式会社というひとつにまとめられて、戦後、GHQが9つに分割して、東電や関電にしたわけですよね?
小出さん
そうです。
聞き手
その時、沖縄は日本じゃないので、米軍というかアメリカの意向が働きますよね?
小出さん
もちろん働きますし、基地のあるところに原子力発電所は不適切だということは当然、米国としては思っていたはずですし、米軍としてもそう思っていたし、今でも思っているはずですので、沖縄に原子力発電所が立てられるということはないと思います。
聞き手
とはいえ、沖縄電力は原発を建てたいようで、こっそり揚水発電所をつくっているという話も聞きますが・・・
小出さん
そうですか。もし、実際、沖縄電力が原子力発電所を建ててしまうと、一番困るのはやはり沖縄電力だと思います。というのは、原子力発電所で何か事故が起きると、一斉に日本中止まってしまうわけで、沖縄で大きな原子力発電所を建てて、それが止まってしまうならば、やはり電力供給ができなくなってしまうと思いますので、沖縄のようなところでは、小規模分散型というのが、電力会社としてもいいと思います。
聞き手
結果的には、沖縄電力は得をしているということですよね。
小出さん
そうですね。
聞き手
よく落ちると言われるオスプレイが配備されて、オレンジルートなど、本土にも飛んでくるのですが、小出さんも伊方原発などで裁判に関わっておられるのですが、その伊方から約1キロのところに1988年6月に米軍機が墜落したことがありました。飛行機が落ちたら、原発は壊れますよね?
小出さん
私は壊れると思います。特にですね、原子力発電所という構造物は、一番外側には原子炉建屋があるし、格納容器というものがあるわけですけれども、どんな構造物も天井の部分はかなり薄いんです。
聞き手
天井は薄いんですか?
小出さん
壁はですね、コンクリートでもなんでも1mでも2mでも壁をつくることが出来るのですが、天井というのはどこでも薄いです。というのは、構造として、分厚くしてしますと持たないのです。
聞き手
そうか、重たくなるわけですね。
小出さん
そうです。ですから、原子力発電所の屋根では言ってみるとペラペラです。横方向から突っ込んでくるのは、彼らも大丈夫だと言っているわけですけれども、真上から落ちてくるようなものはほとんど無防備だと言っていいと思います。
小出裕章ジャーナル
聞き手
話は変わりますが、沖縄国際大学に米軍機が落ちた事件がありましたが、あの時、米軍は防護服着てきたんですよね?
小出さん
そうです。飛び込んできました。
聞き手
沖縄の人は普通の服で見てたのですが、なぜ、米軍は防護服を着たのですか?
小出さん
ヘリコプターはプロペラのところにストロンチウム90という放射性物質を積んでいました。6枚のプロペラの羽根があったのですが、羽のひとつひとつにストロンチウム90というかなり毒性の高い放射性物質が積んであったのです。
聞き手
それは確か、骨に入ったら大変なことになるやつですね?
小出: そうです。それが壊れて、火災で蒸発してしまったりしているわけで、もちろん、米軍の方は放射性物質を積んでいるということを知っていたわけですから、当初から防護服を着てきましたし、放射能の測定器を持って現場に駆けつけてきました。
聞き手
沖縄の人たちはそれを知らずに、野次馬のような形で抗議をしてましたよね?あの時、撮影も禁止だったんですよ。非常に機密だったんでしょうね?
小出さん
現場はとにかく、日本という国のはずなのに、米軍が封鎖しました。その外側を沖縄県警の警察官が米軍を守るような形で取り囲んで、その周りを人々が、沖縄国際大学の関係者もいたわけですけども、現場に近づくことすらも出来ない、そういう状態でした。
聞き手
結局、米軍は情報を持っているということですかね? 福島の事故でも、米軍は逃げたというのはそういうことですか?
小出さん
日本では原子力発電所の事故が起きたら、どちらの方向にどれだけ飛んでいくかということを計算するための「SPEEDI」というものがあったのです。確か、120億円ほど投入したと思いますけども、何十年かかけて開発したコードがありまして、実際、その計算コードは事故の直後から動いていたのです。
ただし、原子力発電所からどれだけの放射性物質が時々刻々と出ているか分からなかったがために、あまり正確な計算になりはしなかったわけですけれども、それでもずっと計算を続けていて何月何日何時どちらの時点でどちらの方向が危ないというようなデータを日本の政府はちゃんと持っていたのです。それが余り正確でないと、日本の国民には知らせないということにしたのですけれども・・・
聞き手
飯館村の方向にいくというのは知っていたわけですね?
小出さん
そうです。それも知っていたんですけれども、日本の国民には知らせなかったのです。ただし、米軍には知らせていたのです。
聞き手
米軍だけには知らせていた?
小出さん
そうです。米軍というか米国には知らせていたのですね。ですから、米軍としては、その「スピーディ」のデータを持ちながら、いつ自分たちの方に放射能が来るか見ながら行動していたわけで、自分たちの方向に放射性物質が飛んできた途端に逃げたということになったわけです。
聞き手
どこの国やねん? ということになりますけど、彼らは80キロ逃げましたよね?
小出さん
そうです。深刻な事故だということは、原子力の専門家なら誰でも分かっていたわけですし、距離をとるというのが原則なわけですから、とにかく距離を話して逃げようと、彼らは考えたわけですね。極々当然な判断だったと思います
聞き手
あまり考えたくないのですが、万が一、オスプレイが伊方に落ちたら、米軍だけが逃げるみたいなことになるのですか?
小出さん
なるかもしれませんね。
聞き手
この国はどっち向いて政治をしているんだという気になりますが、どう思いますか?
小出さん
もちろんそう思いますし、日米安全保障条約というのがあるわけですし、日米地位協定というものもあって、日本は完全にそういう意味で主権を奪われたまま、今でもあるわけですね。ですから、米国につき従うのは国益だと国家のトップがずっと言ってきたりしているわけですから、米国ばっかりみているというのは事実だと思います。
聞き手
天井が厚くできないのならば、何が降ってくるか分かりませんから、早く止めて廃炉にすべきだということでしょうね。
小出さん
私はそう思います。
http://www.rafjp.org/koidejournal/no18/

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