2016年12月17日土曜日

ヘリコプター(回転翼)の放射性物質


「飛行中の回転翼のひび割れを調べるセンサー」というのは、シコルスキー社のIn-Flight Blade Inspection System (IBIS)というものだ。H-53シリーズだけでなく、H-3/S-61シリーズのヘリコプターにも、少なくとも一部で採用されていた。

ブレードに何らかのダメージで亀裂が入ると窒素の圧力が抜け、プレッシャ・インジケータのスイッチが作動する。すると、インジケータに黒い2本のラインが現れる(左図の状態)ので、停止中であれば目視で異常が確認できる。
また、それと同時に内蔵されたストロンチウム90から放射線が出るので、飛行中であっても機体に取り付けられたセンサーが反応して警報を発する。こうして、目視点検できない飛行中でも、乗員がローター・ブレードの亀裂(クラック)を検知できる。

https://i2.wp.com/booskanoriri.com/wp-content/uploads/IBIS.png?w=556

http://booskanoriri.com/archives/1648




2016年12月2日金曜日

20161202 自由なラジオ #36「小出裕章ライトアップジャーナル」


担任教師が被曝から逃れようと避難した子どもを「〇〇菌」と呼び、いじめを助長。新潟

原発避難の小4に担任が「菌」発言 いじめ相談の5日後

永田篤史、狩野浩平
2016年12月2日07時28分
 新潟市の小学4年の男子児童が、担任の40代男性教諭から名前に「菌」をつけて呼ばれ、1週間以上学校を休んでいることが、保護者や学校への取材でわかった。児童は5年前、東京電力福島第一原発事故福島県から家族と避難していた。同級生からもそう呼ばれ、この担任に相談していたという。
 保護者によると、児童は11月22日、担任から昼休みに教室で連絡帳を渡された際、ほかの児童がいる前で、自分の名前に「菌」をつけて呼ばれた。この日は早朝、福島県で最大震度5弱の地震が発生。児童は福島県で働く父親と連絡が取れないまま登校した不安感も重なり、強くショックを受けた様子だったという。祝日をはさみ、24日から学校を休むようになった。
 児童は2011年の東日本大震災後、家族と新潟市に自主避難した。保護者によると、理由は定かではないが、小学3年のころから仲間はずれにされたり、一部の同級生から名前に「菌」をつけて呼ばれたりするようになったという。4年に進級すると、同級生に文房具を捨てられたり、傘を壊されたりもしたというが、児童は保護者に「守ってくれる友達もいる。大丈夫だよ」と話していた。
 ところが、11月に横浜市に自主避難した中学生が名前に「菌」をつけて呼ばれて不登校になった問題が報道されると、落ち込んだ様子になったという。保護者らは「自分も深刻ないじめを受けていると自覚したためでは」とみている。
 心配した保護者の勧めで、児童は11月17日、担任に「自分も名前に『菌』をつけて呼ばれている」と相談した。にもかかわらず、5日後、担任がその呼び方で児童を呼んだとされる。
 保護者が問題視して学校に連絡。学校が担任に事情を聴くと、担任は当初、「相談を受けているわけだし、私は絶対にそういうことは言わない」と否定した。だが11月29日、別の教諭らがクラス全員に聞き取り調査をした結果、複数の児童が「自分もそう呼んでいた」「担任の先生もそう呼んだ」などと答えた。
 校長によると「担任は『認識不足だった。何とかして謝罪したい』と話している」といい、学校側は発言に問題があったと認めている。新潟市教育委員会も問題を把握。詳しい経緯や状況について調査している。市教委教職員課の吉田隆課長は「福島は帰りたくても帰れない状況で、お子さん、ご家族につらい思いをさせているのは残念。適切な対応をしていきたい」と話している。(永田篤史、狩野浩平)
■今回の問題の経緯(保護者への取材から)
2011年3月11日   東日本大震災、その後、新潟市に自主避難
 15年(小学3年) 仲間はずれや、「菌」との呼び方はじまる
 16年(小学4年) 嫌がらせが続く
   11月上旬   自主避難した横浜市の中学生のいじめ発覚。「菌」と呼ばれていたことがニュースに
     17日   児童が担任に相談
     22日   早朝、福島県で最大震度5弱の地震
          昼休み、担任に名前に「菌」をつけて呼ばれる
          放課後、保護者が学校に連絡
     24日   学校に行かなくなる
     29日   学校の調査で担任の発言確認

2016年11月26日土曜日

20161125 自由なラジオ #35「小出裕章ライトアップジャーナル」






「市民権もなければ音楽家であるあなたには関係ないだろう、と仰る方もいるかもしれませんが、何か重要なことを目の当たりにしながら何も行動を起こさないというのは本当に愚かなことだと思います。自分の国であるか、否かは関係ありません。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3

2016年11月21日月曜日

ブラジル政府、被ばくリスクを伴う作業の求人広告、自粛要請


外国人作業員の違法な偽装請負が疑われる福島第1原発の汚染水貯蔵タンク建設現場=2014年5月ごろ撮影(関係者提供)

日系人向けメディアに 被ばくリスク懸念

 東京電力福島第1原発の廃炉作業にブラジル国籍の日系人ら7人が従事していた問題で、ブラジルの在日大使館や在東京総領事館が原発事故後、日系人向けメディアに、被ばくのリスクを伴う作業の求人広告を安易に載せないよう求めていることが分かった。同国は自国民を守る立場から、リスクをきちんと認識した上で働ける現場か懸念している。【関谷俊介】
 この問題では、第1原発で2014年3~5月ごろ、日系ブラジル人らが法令の定める事前の放射線防護教育も十分に受けず、汚染水貯蔵タンクを建設する溶接作業を行っていたことが、関係者への毎日新聞の取材で判明。安全管理責任をあいまいにする違法な偽装請負の疑いがある。
 在日ブラジル大使館が問題視した求人広告は、原発事故翌年の12年春、日本に居住する日系ブラジル人向けのフリーペーパー(ポルトガル語)に掲載された。作業は原発20キロ圏内のがれき処理で、日当3万円。発行人によると08年のリーマン・ショックの影響で日系人向けの仕事が減っており、掲載から3日間で100人前後の応募があった。
 一方、求人広告に対し日系ブラジル人たちの間で抗議の声が広がり、在日ブラジル大使館がフリーペーパー発行会社に掲載自粛を要請する事態となった。広告を出した大阪市の人材派遣会社によると、騒ぎが大きくなる前に採用を見送り、その後は外国人を募集していないという。
 他のフリーペーパーでも原発事故関連の求人広告が散見されるとして、在東京総領事館は15年春、改めて「労働者の健康に危険がある福島第1原発周辺の求人を控えるよう求める」などとホームページ上で発信した。
 毎日新聞の取材にマルコ・ファラーニ総領事は、広告掲載自粛要請について「放射線の問題があり(第1原発で)働かない方がいいと思うが、働きたいという人を我々は止められない。報酬がいいからというのではなく、働く前に放射線の健康へのリスクをきちんと学んでおくことが大切だ。メディアは募集広告を載せる前にその点を考えてほしい」と説明。日系ブラジル人らが廃炉作業に従事していたことは「知らなかった」とした。
 日系ブラジル人の労働問題に詳しいアンジェロ・イシ武蔵大教授(国際社会学)は日系3世で、求人広告に抗議した一人だ。「放射線の健康への影響を深く考えないまま掲載したことを重く見た」と振り返る。偽装請負が疑われる労働実態については「被ばくや事故が起きなかったとしても結果オーライでは済まない。事前に外国人にも分かるように情報提供し、リスクを理解させる必要がある」と指摘する。

日系ブラジル人ら7人の労働実態 東電、元請け任せ

 福島第1原発での日系ブラジル人ら7人の労働実態は実際、どうだったのか。
 偽装請負の可能性が判明した時点で毎日新聞の取材に、東京電力は個別の事案への言及を避け、「全作業員対象のアンケートなどでも特段の問題は確認していない」と回答していた。このアンケートは定期的に実施されており、調べたところ、2013年は10~11月、14年は8~9月に行われた。7人が作業していた時期(14年3~5月ごろ)はそのはざまで、7人はこの時期、アンケートに答えていない。
 東電は17日、毎日新聞の取材に「元請け業者から偽装請負はなかったと報告を受けた。しかし(東電が)下請け業者と直接の契約関係にないため、詳しい中身は答えられない」と説明した。
 一方、元請け業者は東電への報告内容について、取材に「17日中に回答できない」とした。労働実態について現時点で明確な説明はなく、東電は主体的に説明する姿勢に欠け、業者任せにしている実態が浮かんだ。【関谷俊介】
 17日、東京電力広報室と毎日新聞のやり取りは以下の通り。
 --7人の労働実態の調査結果は。
 元請け業者から偽装請負はなかったと報告を受けた。
 --外国人はどのような労働形態で働いていたのか。
 下請け業者と直接の契約関係にないため、詳しい中身は答えられない。
 --報告を受けて改善すべき点はあるか。
 これまでも実施してきた全作業員を対象としたアンケートなどを通じて改善すべき点があれば取り組む。
 --アンケートは日本語だが、日本語が読めない外国人にはどう対応するのか。
 元請け業者や雇用先が日本語がわからない外国人にも内容がわかるように対処していると聞いている。

http://mainichi.jp/articles/20161118/k00/00m/040/175000c

毎日新聞

川内原発 2



「赤」ではない場所に活断層が無いわけではない。
https://www.youtube.com/watch?v=fxhelnz5-xQ











2016年11月12日土曜日

原発は事故を起こさなくても被ばく者を生み出しつづける



原発は事故を起こさず、正常に運転されていても、定常的に下請け・孫請け労働者という
被ばく者を
年々生み出している。
しかもその被ばく量や、健康被害は、親会社である電力会社から見限られないように、下請け・孫請けレベルで隠ぺいされ、電力会社は隠ぺいされている事実さえ、知らずに原発を推進できる。
原発問題を考えるとき、こうしたことを忘れるべきではない。

http://todkm.com/2011/06/3029

2016年11月7日月曜日

偽装請負。複数の外国人労働者。ラジオ音声。



偽装請負、福島第一原発、外国人の労働実態。

廃炉 外国人に偽装請負か 事前教育も不十分

汚染水貯蔵タンク建設の契約形態
 

東京電力福島第1原発の汚染水対策で2014年、違法な偽装請負が疑われるかたちで複数の外国人が働いていたことが、関係者への取材で分かった。法令に基づく事前の放射線防護教育も作業員は十分に受けていなかったという。事故後の第1原発で外国人の労働実態が明らかになるのは初めて。【関谷俊介】
 第1原発では当時、汚染水問題が切迫し、東電は漏れにくい溶接型貯蔵タンクの建設を大手ゼネコンに発注。2次下請けの東京の溶接会社で「必要な日本人がそろわなかった」(社長)ため、7人前後の外国人溶接工が急きょ集められた。
 集めた日系ブラジル人の溶接工、石川剛ホーニーさん(43)らによると、石川さんは溶接会社から1基200万円で建設を受注。作業員と個別に業務請負契約を結んで溶接を頼んだ。石川さんは途中で現場を離れ、その後は溶接会社などが作業を指示した。雇わずに業務を請け負わせ、発注者以外の指示で作業するのは、安全管理責任などをあいまいにする偽装請負として職業安定法などが禁じている。
 溶接会社の社長は「社員でないと第1原発に入れず、上の会社に(外国人を)社員と報告したが、請負の方が効率が上がる」と話し、偽装の意図はなかったと釈明している。
 石川さんらによると外国人作業員は主にブラジル国籍で、14年3~5月ごろに建設に従事。多くは日本語の読み書きが不自由で、片言で会話する人もいた。
 原子力施設で働く作業員は核燃料や放射線について事前に教わり、試験に合格する必要がある。テキストや試験は日本語で、言葉に堪能な石川さんが横で試験の答えを教え、合格した作業員もいた。石川さんは「汚染水対策を急ぐ中で暗黙の了解があった」と話す。
 こうした労働実態について東電は取材に、個別の状況には言及せず、事前教育については「外国籍の方には英語のテキストを用いたり、雇用主が通訳をつけたりしている」とした。石川さんによると、外国人作業員の母語は主にポルトガル語で、通訳はなく、自分が代わりを務めたという。

東電は、安全の管理に責任を

 第1原発の汚染水対策で、外国人作業員の立場は会社から賃金をもらう労働者ではなく、3次下請けの溶接工からさらに仕事を請け負う個人事業主だった。いわば「4次下請け」として最下部で働き、彼らの教育や安全管理について責任の所在はあやふやだった。
 彼らは高い放射線を浴びることはなかったという。請負の方が努力に応じて報酬も増え、工事も進み、元請けや東京電力も救われたはずだ。だが、十分な教育を受けられない中で事故や健康被害に遭ったら、誰が責任を持つのか。原発での日本人作業員の偽装請負では、2012年に福岡県警などが摘発した例があり、国が電力各社に適正な請負を要請した経緯がある。
 今後数十年続く廃炉作業では、溶け落ちた核燃料の取り出しなど困難な課題が待ち受ける。日本人が集まらず、外国人が急場しのぎで穴を埋める局面も予想される。しかし、第1原発で働く外国人について、東電は取材に「人数は答えられない。(立ち入り時に)在留資格は把握していない。作業員対象のアンケートで特段の問題は確認していない」と説明する。廃炉作業を主導する東電が、彼らの労働環境や資格を把握し、教育や健康管理について責任を持つ体制を整えるべきではないか。【関谷俊介】
http://mainichi.jp/articles/20161107/k00/00m/040/138000c

被曝補償がないまま、福島第1原発の作業に従事する外国人。


「我々がやるしかない」 被ばくに不安の声



福島第1原発で汚染水貯蔵タンク建設を請け負った外国人作業員ら。作業服の下に防護服を着込む=2014年5月ごろ撮影(関係者提供、画像の一部を処理しています)

 
東京電力が廃炉を進める福島第1原発の過酷な最前線で、外国人が働いていた。「日本人がやらないなら、外国人がやるしかないと思った」。汚染水貯蔵タンクの建設に従事した日系ブラジル人の男性は言った。彼らは、必要な人数がそろわない日本人の穴を埋めていた。【関谷俊介】「福島第1原発について私は皆さんに約束する。状況はコントロールされている」。安倍晋三首相は五輪招致に向けて2013年9月、国際オリンピック委員会の総会で力説した。第1原発ではその前月、鋼材をボルトでつなぐフランジ型のタンクから汚染水約300トンが漏れ出た。
 現場は増え続ける汚染水と格闘していた。政府は溶接型タンクの増設を指示し、東電は大手ゼネコンに発注。2次下請けに入った東京の溶接会社は13年11月ごろ、半年で約50基建設という日程的に厳しい作業に着手した。
 溶接会社の社長は取材に「当初は原発で働く予定だった日本人従業員も、直前に家族の反対で断念した。(ぎりぎりの要員で)毎日が戦争状態だった」と証言。「日本人溶接工三十数人を集めたが、技量不足で半数を入れ替えた」と話す。
 「外国人がやるしかない」と語った津市在住の溶接工、石川剛ホーニーさん(43)はブラジル生まれの日系2世で日本に移って日本国籍を取得。外国人作業員たちのまとめ役を務めた。彼らも日系2、3世やその配偶者で就労制限はなかった。
 石川さんは14年1月に初めて第1原発に入り、目を疑った。汚染水の円柱タンク(高さ、直径とも約10メートル)は、分割された約20個の部材を溶接でつなぎ合わせて作る。だが、現場に集められた日本人作業員の多くは高齢で溶接の技量が低く、作業は進まなかった。
 最初のころはタンクの残り容量に余裕がなく、突貫工事を強いられた。トイレに行く時間も惜しく、現場で用を足した。外国人作業員をタンク上部の足場に残したまま、下部で溶接の火花から引火したとみられるボヤ騒ぎも起きたという
 日当は通常の約1.5倍。「一緒に働く外国人から、被ばくしたら補償はあるのかと不安の声も上がった。こちらは『この日当は他では出ない』と報酬の話をするしかなかった」と振り返った。
 外国人作業員のうち40代の日系ブラジル人男性が取材に応じた。石川さんから作業を請け負った後も有期で別の会社に雇われ、日本人が次々去る現場で約1年間タンク建設に携わった。「(廃炉作業に)日系人が入ったのは私たちが初めてだと思う。その後は他のグループが溶接以外の現場にも入るようになった」と話す。
 事前に放射線防護教育も受けた。内容は核燃料物質の知識や放射線の身体への影響、関係法令など。労働安全衛生法の規則に基づき原子力施設で働く作業員に雇用主が行うが、第1原発では東電が元請け企業などを支援する立場でテキストを作り、実施する。男性は「日本人と同じ講義で通訳もなく、漢字の形を暗記した」と話す。
 外国人作業員のうち何人かは、別の元請けの下でも外国人グループを組んで働いた。そこに加わった別の40代日系ブラジル人男性はこう説明した。「グループは10人くらいで、約25基を作った。作業中の会話はポルトガル語で、構内放送があると日本語ができる作業員が苦手な作業員に意味を教えていた」

福島第1原発の汚染水

 山側から大量の地下水が原子炉建屋に流れ込み、溶けた核燃料に触れるなどして放射性汚染水が発生している。東京電力は昨年9月から建屋への流入前に地下水をくみ上げて海に放出し、流入量は1日約400トンから一時は約150トンに減った。だが、降雨の影響で再び増え、現在1日300~400トンで推移する。貯蔵タンクはフランジ型から溶接型に順次建て替え、計約1000基(容量約100万トン)に上る。





「リニアモーターカーの稼働には原発3~5基分の電力が必要」

 
 衆院国土交通委員会は26日、リニア新幹線建設への3兆円の公的資金投入を可能にする鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改定案を採決し、自民、公明、民進、維新などの賛成で可決
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-27/2016102701_02_1.html


(2016/11/1 17:10) JR東海は1日、2027年に東京・品川―名古屋で開業を目指すリニア中央新幹線計画のうち、「南アルプストンネル長野工区」の安全祈願・起工式を長野県大鹿村で開いた。昨年12月の山梨工区に続く着工で、最難関のトンネル建設が本格化する。
http://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/linear/297419.html

2027年、東京~名古屋間が開通予定のリニアモーターカー。だが、日本人の価値観が変化していくなか、新たな問題も浮上している 
建設費約9兆円をかけた日本史上最大の鉄道事業、それが、JR東海が2014年10月に着工するリニアモーターカー「リニア中央新幹線(以下、リニア)」だ。しかし、最近になって計画に反対する声が挙がっている。その原因は「電力」。
リニアは、超伝導磁石で車体を浮上させ“飛ぶ”新幹線。電気抵抗がゼロの技術にもかかわらず、消費電力は東海道新幹線の約3倍である。昨年の原発事故以降、節電の必要性が浸透しているなか、この事実はあまりアナウンスされていない。山梨県立大学の伊藤洋学長は、乗客ひとりを運ぶエネルギーをもとに「リニアには原発3~5基分の電力が必要」とまで推計する。
もちろん、JR東海がリニアのために原発を稼働させるべきと公に明言したことはない。だが、リニアと原発の関係は否定できない。というのは、山梨県のリニア実験線の主な電力供給元は東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県)だからだ(昨年秋から、実験線の延伸工事のため走行実験は休止中)。
そして、原発とリニアの関連性を裏付けるかのような発言も飛び出している。昨年5月14日、静岡県の浜岡原発が運転停止したわずか10日後に産経新聞に掲載された、JR東海・葛西敬之会長の「原発継続しか活路はない」と題した談話だ。以下はその要約。
「原発を止めれば電力供給の不安定化と電力単価の高騰を招き、日本経済の致命傷となる。原子力の利用には、リスクを承知の上で、それを克服・制御する国民的覚悟が必要。政府は原発をすべて速やかに稼働させるべきだ。この一点に国の存亡がかかっている」
この発言について、リニア建設に反対するJR東海労働組合書記長の小林光昭書記長は、「会社はリニアのために原発を稼働させたいのです」と推測する。
また、リニア計画の妥当性を話し合うために国土交通省に設置された「交通政策審議会中央新幹線小委員会」でも、昨年5月、家田仁委員長は「原子力安全・保安院は浜岡原発の停止期間を2年程度としているため、現時点ではリニア計画に影響しない」と、リニア建設は原発稼働を前提としているかのような発言をした。
いかにも原発稼働ありきで進んでいるように見えるリニア建設計画。計画当初と現在では、日本人の価値観が変わってしまっただけに、新たな検証材料が必要かもしれない。
(取材/樫田秀樹、写真/本田雄士)
http://news.livedoor.com/article/detail/6626117/