2014年4月30日水曜日

311から2年 恐怖は持続できないが、忘れないでほしい







恐怖というのは持続できませんが事故は進行中です。 「忘れないで欲しい」と思います。小出裕章氏3/13吉田照美ソコトコ(文字起こし)


吉田照美 ソコダイジナトコ

2013年3月13日 
アシスタント 唐橋ユミ
・週刊エンター:「After3.11 ソコトコが伝えたかったこと」
    




週刊エンター、今週は「Afetr3.11 ソコトコが伝えたかったこと」をお届けしています。

小出:
私は原子力を一刻も早く廃絶したいと願いながら、原子力を廃絶出来ないで事故を起こさせてしまった
防げなかった一人の責任者でもあるので、

吉田:
いやいや、そういうことをおっしゃるというのは僕は本当にお人柄だと思うんですけどね、

小出:
とっても残念だけれども、私は非力だった訳ですね。
その非力な私が、せめてこの事故を引き起こしてしまった責任をどうやって取れるか?と言えば、
「子どもを守りたい」という、
そこで、その1点で私のやるべきことはあるだろうと思っている。

ーー
吉田:
今流れましたのは2011年8月にですね、京都大学原子炉実験所にお邪魔した際に、
小出裕章先生に伺ったインタビューの一部なんですけれど、
とにかく僕がビックリしたというのは、
小出先生は専門家の立場から原発無くそうというふうに、ずーーっと働き続けてこられた方なんですけども、
その反対の考えの福島第一原発で事故が起きちゃったことを、
その小出先生が逆の立場でいらっしゃって活動も続けられていたのに、
真っ先に謝られるということっていうのはね、
ぼくとしては本当に、その事だけでも全うだし、
おっしゃっている事が全部得心できるというね、思いに至っています。

唐橋:
東日本大震災が発生した2011年3月11日。
あの日から私たちは何を考え、どんな思いで震災、
特に福島第一原子力発電所の事故と向かい合ってきたのか?
今朝は専門家の立場から原発や放射能について番組でたびたびお話を頂きました、
京都大学原子炉実験所の小出裕章先生のインタビューを振り返ります。
吉田:
小出先生はおよそ2カ月に一度、都合13回ご出演頂いています。
唐橋:
初めてご出演頂いたのが2011年4月11日ですね。
使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料に混ぜ合わせて使うプルサーマル。
福島第一原発3号機で、
そのプルトニウム混合燃料であるMOX燃料が使われていたことから伺った質問では、
こんなお話をして下さいました。

小出:
プルトニウムというのはですね、ものすごく生物学的毒性が高くて、
ウランに比べると20万倍危険だという、そういうものなんですね。
現在日本で使われている原子力発電所というのはウランを燃やすために設計された原子炉です。
たとえば皆さん家庭で灯油のストーブを使っているかもしれませんが、
灯油のストーブにガソリンを入れて火を付けたら火事になるんですね。
ですからウランを燃やすために設計された原子炉でプルトニウムなど燃やしてはいけないのです。
それなのに、プルトニウムが余り過ぎたというので、
普通の原子力発電所でプルトニウムを燃やそうとしているのがプルサーマルと呼ばれる計画です。

唐橋:
また翌月、5月26日の放送では、
原子力発電についてこんなことを語られています。

吉田:
原子力発電を始めた理由の一つにですね、
石油等の化石燃料の枯渇という事が言われていますけれども、
化石燃料が無くなってしまうとしたら原子力に頼らざるを得ないという、
こういう論理はどうなんですか?
小出:私自身はそういうふうに思って原子力の場に足を踏み込んだ人間です。
吉田:小出先生もそうなんですね、実は。
小出:60年代にはずっとそういうふうに言われていまして、
吉田:ね、言われていましたよね。
小出:
私もそれを信じて原子力に来てしまったんですが、
実際にデータを調べてみるとですね、
原子力の燃料というのはウランなのですが、
ウランというのは石油と比べても数分の1しか資源がありません。
石炭に比べれば数10分の1しかないという事で、実に馬鹿げた資源だったのですね。

吉田:
推進の方々はこのあたりどういうふうに受け止めているんでしょうかね。
さらに福島第一原発4号機にあります使用済み核燃料プールの危険性が注目される中ではですね、
こういうお話もありました。
2012年2月20日の放送です。

小出:
4号機の場合には使用済み燃料プールが埋め込まれているその階すらが爆発で吹き飛んでいるのです。
だから使用済み燃料プールが宙ぶらりんのような形でまだ存在しているわけで、
これから大きな余震でも来て、使用済み燃料プールが倒壊するような事になれば、
それで、一切の打つ手が無くなると思います。

吉田:
もう、この発言でもう、絶望っていう以外に何にもないっていう思いに至ると、
このあたりの事を、本当に推進している方々、
推進を信じている方にね、やっぱり問い返したい気持ちに強くなるわけですけれども、
メルトダウンした1号機2号機3号機よりも、
4号機の核燃料プールが危険だという事を事故直後から小出先生は指摘されていまして、
違う日にご出演頂いた際にはですね、
「万が一倒壊するような事があれば、東日本は壊滅してしまう」とおっしゃっていたのは
実に衝撃的でありました。
その危機は今現在も続いているという事は、いまの現状なんですけれども、
今朝はここで小出先生と電話でまたご出演頂けるという事なので、お呼び出ししてみたいと思います。
小出先生お早うございまーす。
小出:おはようございます。
吉田:
非常に短い時間で恐縮なんですけれども、
原発事故と我々が今現在おかれている状況を
小出先生のお話で再確認させていただきたいと思うわけなんですけれども、
東京あたりでは放射能の危険性が意識の中でみんなもう薄らいでいる感じがするわけなんですが、暮らしていくにあたってですね、政府が除染の対象としているような場所を除けば、その土壌汚染であるとかですね、外部被ばくはもう気にしなくてもいい状況なんでしょうか?
小出:
放射能、あるいは被ばくという事に関しては、安全量はありません。
ですから、「大丈夫」だとか「安心」とか「気にしなくていい」というような言葉は、
出来れば使わない方がいいし、
吉田さんも今「気にしなくてもいいか」とおっしゃったわけですけれども、
使って欲しくはありません。
どんな場所でも「気にしてほしい」と私は思っています。
特に私たちがこれまで調べてきたところでは、
汚染には濃淡があってですね、ホットスポットと呼ぶところもありますし、
もっと局所的なマイクロスポットと呼ぶように、
本当に限られた場所に猛烈な放射能が濃縮されていたりするのですから、
そういう場所を丹念に調べて、
せめて子どもたちがそういう場所に接しないようにするという注意はしなければいけませんし、
それは現在もそうですし、これから永い間そういう注意は必要だと私は思います。
吉田:
ああ、わかりました。
それと、福島第一原発で増え続けています、高濃度の放射能汚染水の問題なんですけれども、
この汚染水は何時まで増え続ける事になるというふうに思えばよろしいんですか?
小出:ずっと増え続けます。
吉田:ずーーっとなんですか?これ。
小出:
はい、
1号機から3号機までは原子炉が動いている時に地震と津波に襲われまして、
炉心と呼ばれている部分が溶け落ちてしまいました。
そしてその溶け落ちた炉心が今どこにあるかすらわからないのです。
見に行くこともできませんし、知るための測定器の配置もありませんでしたから、
どこにどんな状態であるか?がわかりません。
そのため、ただひたすら水をかけて、冷やさなければいけないという状況がすでに2年間続いている。
で、水をかけてしまえば、そこらじゅうが壊れて穴が開いてしまっていて、
どんどんどんどん漏れてきてしまっているという事になっているわけですが、
水をかける事を止めることができませんので、これからも増え続けていきます。
吉田:果てしない訳ですね、これはね。
小出:そうです。
吉田:
そしてその10年先、20年先と言われています、核燃料の取りだしが行われるまで、
循環冷却が必要ということで、汚染水も当然、これ、出続けるっていう事になるんですよね?
小出:
そうです。
どんどんどんどん増え続けますし、
東京電力は福島第一原子力発電所の敷地の中に、次々とタンクを増設して、
そのタンクに入れながら今日までしのいできたのですけれども、
敷地にはもちろん限りがありますし、
タンクを置ける場所ももうほとんど無くなってきていますので、
やがて汚染水を、今度は海へ流さざるを得なくなると思います。
吉田:もうそれは必然の流れになるんですね。
小出:残念ながら多分そうだと思います。
吉田:
とにかく福島第一原発4号機にある危険性を知った、その使用済み核燃料プールの冷却なんですけれども、
この使用済み核燃料プールは、これもやっぱり際限なく冷却が必要という事になってくる訳ですか?
小出:
そうです。
使用済みになった燃料の中には、核分裂生成物、つまり放射性物質が大量に含まれていますので、
冷やさなければ溶けてしまいます。
ただし取り出した直後には、発熱量が多いのですが、
発熱量がだんだん、年が経るにしたがって減っていっててくれます。
そのため、ずーーっとプールというものの中で冷却しようと思うと、
たとえばプールに穴が開いてしまったら、水が漏れてしまって冷却が出来なくなるとかですね、
そういう危険がありますので、
5年とか10年経って、発熱量が少なくなった段階で、
キャスクと私たちが呼ぶ保管するための容器に入れて、空冷で冷やせないか?という事を考えてきています。
吉田:はぁ…可能なんですか?
小出:
はい。
もうすでにやっているところもありますし、
5年10年経った後の使用済み燃料は、空冷で出来る事がすでに分かっていますので、
福島でもそういう形に、多分なると思います。
吉田:
そうなんですか・・今初めて伺いましたけれど、
それで、使用済み核燃料プールですけれども、
六ヶ所村の再処理工場をはじめとしてですね、全国の原発にこれがある
六ヶ所村の再処理工場をはじめとしてですね、全国の原発にこれがあると思いますけれども、
原子炉が停止していたとしても、日本では福島第一原発が現在置かれているような危機の可能性を
す―ーっとこれは抱え続けていくっていう、事になるんですよね?
小出:
そうです。
プールの底に今は使用済み燃料が眠っているのですが、
プールというのは今聞いていただいたように、水漏れとかがあるわけですから、
それで水が抜けてしまうと、また燃料が溶けてしまう危険というのは、
どこの原子力発電所の、どこの使用済み燃料プールにもあるのです。
ですから出来るだけ早く、プールではなくて、
私たちが乾式貯蔵といっている空冷の形に移す必要がある
私たちが乾式貯蔵といっている空冷の形に移す必要があると思います。
吉田:
わかりました。
短い時間で非常に今朝は恐縮だったんですけれども、
今改めて現在ですね、小出先生が改めておっしゃりたい事がもしあればですね、
一言お願いしたいんですけれども。
小出:
はい。
吉田さんが初めに東京に人たちがですね、「だんだん放射能の事を気にしないようになっている」とおっしゃって、確かにその通りだと思います。恐怖というのは持続できませんし、出来れば忘れてしまいたいと皆さん思っていると思いますが、残念ながら事故はいまだに進行中ですし、故郷を奪われて流浪化している人が何10万人もいるということになってしまっています。全く状況は2年経っても改善していませんし、「忘れないで欲しい」と思います。私も忘れないでいようと思っています。
吉田:そういう認識は安倍さんにはないんですかね?やっぱり。
小出:私はあの人からそういう認識を感じ取ることができません。
吉田:そうですね!ありがとうございました。またよろしくお願いします。


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