2018年10月9日火曜日

電気は足りている、のではなく、余り過ぎている。

太陽光発電に停止要求の可能性「秋に入り供給過多」理由に

九州地方では秋に入って電力の供給が需要を上回って需給のバランスが崩れるおそれがあり、大規模な停電を防ぐために全国で初めて、太陽光発電などを一時的に停止させる「出力制御」が実施される可能性が出ています。
九州地方では秋に入って冷房を使わなくなり需要が減る一方で、太陽光の導入が急速に進んでいることや原発の再稼働などで供給が増えていて電力の供給が需要を上回る状況が起きています。

このため九州電力は、電力の需給バランスが崩れて大規模な停電が起きるのを防ぐため、火力発電所の稼働を抑えるとともに、今月に入って余った電気を本州や四国に送る需給調整を初めて行っています。

しかし、こうした手段を講じても需要の少ない日には電力供給が過剰になるおそれもあるとして、九州電力が太陽光などの事業者に一時的に発電の停止を求める「出力制御」の実施を求める可能性が出ています。

仮に「出力制御」が実施されれば離島を除いて全国で初めてとなります。

実施にあたって世耕経済産業大臣は先週、「透明性、公平性の確保が非常に重要で、万が一、制御が行われた場合には国の審議会でも検証する」と述べ、特定の事業者に不利益が出ないよう事後に検証を行う考えを示しています。

九州は太陽光発電の「先進地」

日照条件がよい九州は全国的に見ても太陽光発電などの導入が進んでいる地域です。

九州では太陽光発電だけでことし8月末の時点で出力が最大800万キロワットに上っています。

このため需要が少ない春や秋の晴れた日中には太陽光の発電量で需要の8割をまかなえるまでになっています。

一方で、原子力発電所が再稼働して、現在、川内原発と玄海原発の合わせて4基が常時400万キロワット以上を供給していますが、原発は一時的に発電量を減らすことが困難です。

こうした中、今月はほぼ連日、過剰になった電力を九州以外の地域に送っていますが、本州と結ぶ送電線「関門連系線」の容量は557万キロワットが上限です。

こうしたことから、九州では電力の供給が過剰になる可能性が出ているのです。

電力供給が過剰になり一部で発電を止めたり抑えたりする仕組み

「出力制御」は、電力の供給が過剰になった場合に一部で発電を止めたり抑えたりする仕組みです。

電力は需給のバランスが崩れて周波数を保てなくなると、トラブルを防ぐため、発電所などが自動的に停止して大規模な停電が起きるおそれがあります。

先月の北海道の地震では大規模な火力発電所が停止し、供給力が急激に低下したことをきっかけにほぼ全域が停電する「ブラックアウト」に陥りました。

このときは供給力の低下が要因となりましたが、供給力が増えすぎても需給バランスが崩れるため大規模な停電が起きるおそれがあります。

こうした事態を避けるため、電力会社は需要が少ない場合、火力発電所の出力を絞るほか、過剰な電力を他の地域に送ることで需給バランスを調整します。

それでも供給力が大きすぎて需給のバランスが保てない場合は、太陽光や風力発電所にも「出力制御」を実施します。

この場合、天候に左右される太陽光や風力は発電量の制御が難しいため、一時的に発電を停止することになります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181008/k10011663711000.html

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