2018年9月20日木曜日

「ひつぎに入った夫と面会したとき、放射能が付いているかもしれないからひつぎを開けないで下さいと言われました。」

「ひつぎに入った夫と面会したとき、放射能が付いているかもしれないからひつぎを開けないで下さいと言われました。

涙があふれて止まりませんでした。
辛くて辛くてたまりませんでした。
父ちゃんをどうして迎えにいかなかったのか後悔しています。

国も東京電力も原発は地震や津波がきても大丈夫だと言っていたのに、事故が起きた時にどうするのか何も考えていなかったようにしか思えない。」




第27回公判 2018年9月19日

遺族「誰も責任を取っていない」 厳しい処罰求める

福島第一原発の事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判で、原発事故で病院から避難を余儀なくされ、亡くなった入院患者の遺族などの供述調書が法廷で読み上げられました。このうち、両親を亡くした女性は「こんなに大きな事故の責任を誰も取っていない」として、厳しい処罰を求めています。
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東京電力の元会長の勝俣恒久被告(78)など旧経営陣3人は、原発事故によって福島県大熊町の病院の入院患者などに避難を余儀なくさせ、44人を死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。

東京地方裁判所で19日に開かれた審理では、検察官役の指定弁護士が、死亡した病院の入院患者や高齢者施設の入所者の遺族の供述調書を、時折、涙をこらえながら読み上げました。

高齢者施設に入所していた父と母が避難する途中に亡くなった女性は「認知症の父を母が温かく見守る夫婦でした。原発事故さえなければ2人とももっと長く生きられました。こんなに大きな事故を起こしたのに誰も責任を取っていない」として、厳しい処罰を求めています。

詳報 第27回公判

遺族の心境が初めて明らかに

「原発事故さえ無ければ、もっと生きられたのに。いまだに法的責任を誰もとっていないのはおかしい」

東京電力の旧経営陣3人が巨大地震の前に津波対策を取るべきだったかなどが争われている今回の裁判。27回目となったこの日の審理では原発事故で病院や施設から長時間の避難を余儀なくされて亡くなった事故の被害者の遺族の心境が初めて明かされました。

死亡した被害者は44人

東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴され業務上過失致死傷の罪に問われている今回の裁判では福島第一原発から南西に4キロ余り離れた「双葉病院」と系列の老人保健施設から避難を余儀なくされ死亡した44人と事故に関連してけがをした自衛隊員など13人が被害者とされています。
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これまでは津波の専門家や電力会社の社員などが証人として法廷に呼ばれ巨大地震の前に津波対策を取るべきだったかどうかが主に審理されてきましたが、前日の病院の元看護師が患者たちの過酷な避難の状況を証言したのに続いて、この日は午前中一部の被害者の遺族の供述調書が読み上げられました。
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双葉病院からバスで避難する患者に防護服姿で声をかける医師や看護師
このうち老人保健施設「ドーヴィル双葉」の入所者の妻の供述調書には夫を失った衝撃と救えなかった後悔の気持ちが綴られていました。

「夫のことは『父ちゃん』と呼んでいました。ひつぎに入った夫と面会したとき、放射能が付いているかもしれないからひつぎを開けないで下さいと言われました。涙があふれて止まりませんでした。辛くて辛くてたまりませんでした。父ちゃんをどうして迎えにいかなかったのか後悔しています。国も東京電力も原発は地震や津波がきても大丈夫だと言っていたのに、事故が起きた時にどうするのか何も考えていなかったようにしか思えない」
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同じ施設に入所していた両親を亡くした女性は、原発事故の責任を誰も取っていないとして厳しい処罰を求めていました。

「認知症の父を母が温かく見守る夫婦でした。原発事故さえなければ2人とももっと長く生きられました。ひつぎに入っている2人は眠っているような安らかな表情でした。悲しみよりも、原発事故さえなければもっと生きられたのにと思いました。なぜ無事に避難させてもらえなかったのか。こんな事故を起こしたのにいまだに法的責任を誰もとっていないのはおかしいと思います」

検察官役の指定弁護士が遺族の供述調書を読み上げるのを聴いて、傍聴席ではすすり泣く人の姿も見られました。
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施設の関係者も涙の証言

午後は「ドーヴィル双葉」の入所者98人をバスで避難させたケアマネージャーの男性が証言しました。男性は全員がバスに乗るところを見届けましたが、その後、移動の途中や避難先で次々に亡くなる人が出たということです。

男性は「全員をバスに乗せたときは入所者を助けられたと思い、ほっとしましたが、その後、次々に亡くなる人が出てショックでした。原発事故がなければ、そのまま施設で暮らせたのではないかと思います。自分の無力さも感じました」と涙ながらに話していました。

この日の法廷では、遺族をはじめ原発事故の影響で大切な人を失った人たちの心境が初めて明らかにされました。

裁判は来月2日にも行われ別の証人が証言することになっています。



https://www3.nhk.or.jp/news/special/toudensaiban/

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